事例紹介2024.01.29.民事信託事例① ~親族で共有の収益物件の将来の処分可能性に対応する~
はじめに
民事信託、家族信託という言葉が認知されて約10年程でしょうか。最近になってどんどん実例が増えてきたため、10件ほど順次ご紹介していければと思います。
事例詳細
ホームページからのお問い合わせでまず初回相談。
相談者は所有者の息子さん、所有者であるお母様の高齢化で認知症が心配になってきて、将来の売却等に備えて、親族で共有している小規模なビルを生前贈与したいというご相談。
お話を伺い、民事信託をご提案すると是非そうしたいということでトントン拍子に話が進み、私文書にて信託契約書の作成と信託登記をすることに。
ポイント
今回なぜ贈与ではなく民事信託を提案したかというと、以下の点が挙げられます。
・そのまま贈与すると多額の贈与税が掛かる
・相続時精算課税を検討しても、小規模宅地の特例などの兼ね合いで使いにくい
・収益はお母様の生活費になっている(信託なら収益はお母様のままにできる)
・親族間の仲が悪いので窓口を息子が引き受けたい
まとめ
今回信託契約書を私文書にしたのは、①コストを抑えるため、②信託口の口座を受託者としての正式な信託口座にする必要がない、③信託内借り入れをする予定が無い、といったことから公正証書にはしませんでした。
無事に契約書の作成と登記が完了し、現在のところ、まだ売却等はしていませんが、もしかすると共有物分割の可能性もあり、その場合でも信託受託者が対応できるため安心です。お母様からも感謝の言葉をもらい、良い民事信託の利用事例であったと思います。
文責:庄田
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