事例紹介

事例紹介2024.02.26.死後事務体験記

弊所では死後事務業務を行っておりますが、具体的なイメージが難しいせいか、お問い合わせのお電話を頂く事が多くあります。そこで今回は、実際に死後事務を行ったケースについての体験記をご紹介いたします。

 

突然の連絡

 2年前に死後事務委任契約を締結していたA様が亡くなった、と警察から突然の電話が入りました。A様は病院以外の場所でお亡くなりになってしまったのですが、死後事務委任契約を締結した際にお渡ししたカードをお持ちだったため、警察から弊所に連絡が入ったようです。カードには、死後事務委任契約を締結している事、何かあったら弊所に連絡してほしいなどの記載があり、電話番号が示してあります。ほとんどの方は病院や施設でお亡くなりになる事が多いため、警察からではなく病院や施設から連絡が入ります。A様はカードをいつも身に着けて下さっていたため、お亡くなりになってすぐにご連絡を頂く事ができました。

 私共はすぐに警察や行政各所と連絡をとり、ご遺体の引き取りや埋葬について手配を行いました。

 

葬儀・埋葬の手配

 契約締結時にA様から埋葬や葬儀についてのご意向を伺っていましたので、そのご意向に沿って、簡易なご葬儀と合祀による埋葬の手配をさせて頂きました。A様には親しいご親族がいなかったため、ご葬儀に参加される親族はいらっしゃらなかったのですが、弊所事務員からお花を手向けさせて頂きました。

 A様からは、契約締結時に200万円のお預かり金を頂いており、葬儀・埋葬他諸々のご手配、お手続き等の費用はそこから支払いました。費用については、A様のようにまとまった金額をお預け下さる場合と、弊所に預金の払出など財産の処分の権限を与えて頂き対応する場合があります。後者の場合は、死後事務委任契約と同時に公正証書遺言を作成し、遺言の中で弊所を遺言執行者に指定して頂きます。そうすることで、依頼者様がお亡くなりになった後にその相続財産の中から必要な費用を支払う事ができますので、生前に大きな金額をねん出するのに不安がある場合にはお勧めしています。

 

遺品整理

 葬儀・埋葬の手配が落ち着いたら、お住まいの方の処分を行います。A様は賃貸住宅に一人でお住まいでしたので、管理会社に連絡し、お亡くなりになった事を伝えて解約手続きを進めました。契約時に鍵の場所をお知らせ頂いておりましたので、室内の確認もスムーズに行う事ができました。室内あったパソコン用デスクには、弊所から定期的にお送りしている「神楽坂通信」がおいてあり、お読みいただいた形跡がありました。いざという時には弊所に依頼を行ったので心配ない、と思っていらっしゃたのだろうと感じ、A様からのご信頼に胸が熱くなる思いが致しました。

 室内の状況を確認して業者に処理を依頼、鍵の引き渡しを行いました。あわせて、電気・水道・ガス・電話等の解約手続きと精算、社会保険や税金の精算も行いました。

 

費用の精算

 事前にご依頼ただいた事務が完了後、弊社の報酬を精算させて頂き業務は終了となります。預り金の残額は法定相続人様にお渡しをすることとなります。A様の場合は遺言も作成され、残額は某慈善団体に寄付されることをご希望でしたので、そのようにさせて頂きました。

 

おわりに

 「いざという時に疎遠な親戚に迷惑をかけたくない。」

 多くの方はその思いで弊所にご相談にいらっしゃいます。A様のように親しいご親族がいらっしゃらない場合にも、死後事務委任契約を締結する事で誰にも気兼ねなく、最後までご自身のご希望に沿った処分を行う事ができます。A様はおそらくご自分の予想より早くにお亡くなりになってしまいましたが、元気な時に早めに死後事務委任契約を締結する事で、不測の事態にも対応する事ができました。

 死後事務には興味があるが、よく分からなくて不安だ、という方には、この記事によって多少は具体的なイメージを持って頂けたのではないでしょうか。先延ばしにしてしまう事にはリスクがあります。ご興味がある方はぜひ、一度弊社までご相談にいらして頂ければと思います。

文責 桃田

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