事例紹介2022.01.26.キッチンカ―(移動販売)で開業するには(2)
前回はキッチンカ―を始めるにあたり、必要な資格のご説明をしましたが、今回はその中の「営業許可」の取り方についてご説明します。
営業許可申請の手続き
営業許可を取得するためには、下記のとおりの流れとなります。
①事前相談
②申請書類の提出
③施設検査
④施設完成確認検査
⑤許可書の交付
⑥営業開始
①事前相談
まずは下記のいずれかの保健所に施設(営業車)の設計図等を持参の上、
事前相談をしましょう。
1.仕込み場所の所在地を所管する保健所
2.事務所または自動車の保管場所の所在地を所管する保健所
3.申請者の住所地を所管する保健所
4.主たる営業地を所管する保健所
1→4の順番で当てはまる保健所に相談します。
②申請書類の提出
【申請に必要な書類】
・営業許可申請書
・施設の構造及び設備を示す図面
・営業の大要
・許可申請手数料
・食品衛生責任者の資格を証明するもの
今年の6月に食品衛生法が改正されて、キッチンカ―の設備基準や営業許可のための書類が全国で統一されました。
ここで注意が必要なのが、施設の基準です。今回の改正で手で直接蛇口を触らずに水を出せる「非接触水道」の設置が義務付けられました。
また、設備の中で重要なのが、車に積み込む給排水設備のタンク容量で、給水タンクの容量によって、認められる調理工程やメニューが違います。
40L |
温める、揚げる、盛り付けるなどの簡単な調理のみ。 取り扱うのは1品のみ。容器は使い捨てを使用。 |
80L |
2工程程度までの簡単な調理が可能で、からあげとポテトとドリンクのセットなど複数の品目を扱える。カット野菜や冷凍食材の加熱や盛り付けが中心。容器は使い捨てを使用 |
200L |
ラーメンなどの大量の水を必要とする調理も可能です。車内の厨房で仕込みもできる。食器も洗浄して再利用することができます。 |
※40L,80Lともに仕込みは飲食店などの保健所の営業許可がある場所でないといけません。
フランチャイズ店に加盟すれば、下準備の済んだ材料を仕入れることもできるので、仕込みの場所を確保する必要がなくなります。
仕込みの定義や車内で認められる調理工程などは都道府県に事前に相談、確認しておくとよいでしょう。
③施設検査
営業者の立会いのもと、施設(キッチンカ―)の検査が行われます。
④許可証の交付
施設が基準を満たしていると、営業許可済の標識と共に許可証が交付されます。
⑤開業
許可証交付後に開業することができます。許可の有効期限は5年間です。
許可証は営業中は必ず携帯し、営業許可済みの標識は営業車の見やすい位置に貼付します。
仕込みの場所の確保について
営業許可を取るときに、仕込みの場所が必要になるのかどうか(仕込みが必要なメニューかどうか)も必ず確認しましょう。
給排水設備のタンクの容量によっては、キッチンカ―で仕込みができず、別の場所で調理したものを販売することになります。その場合には仕込み場所の営業許可も必要になります。
固定店舗の飲食店を営業していたり、すでに営業許可が下りている飲食店などを借りることができる場合には問題がありませんが、一般的な住居のキッチンでは許可はおりませんのでご注意ください。
仕込みの場所の確保が難しい場合には、カット済み野菜や業務用食材を利用する、フランチャイズ店に加盟して下準備の済んだ材料を仕入れるなど、仕込み場所を使用しない工夫をしましょう。
許可取得後は
前回もお話したとおり、許可の有効期間は5年間、有効の範囲は東京都の場合には、都内一円となります。引き続き営業を行う場合には、許可が有効期限切れにならないよう、有効期間満了の1か月前に継続の手続きをすることを忘れないようにしましょう。
また、申請した内容、施設の構造や設備が変更になった場合には、変更届を提出しますが、こちらは、変更になった日から10日に提出してください。
営業車を新たな自動車に変えた場合には、変更届ではなく、新規の営業許可が必要になります。
(文責 高橋)
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