相続・遺言2016.10.21.定期借地権による相続税対策
相続税の納税財源として物納等を検討される方がいますが、今ある土地を手放さずに財源を確保するのに、定期借地権を活用する方法もあります。
定期借地権は、平成4年8月に施行された「借地借家法」により誕生しました。従来の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はありません。この制度により、土地の所有者は従来に比べ安心して土地を貸すことができ、借り主は、従来より少ない負担で良質な住宅を持つことができます。土地の貸借が円滑に行われることが期待でき、住宅・宅地政策上も有効な制度とみられています。
定期借地権は、土地を貸しているため相続税評価において「貸宅地」という扱いになります。貸宅地は地主が自由に利用や処分ができないため、更地の状態に比べて30~40%ほど減額されるので、相続税額も安くなります。定期借地権で貸している土地は、契約満了と同時に地主に返還されますが、借地期間の残存年数が短くなるにつれて、減額の割合は小さくなっていきます。
<前払地代方式による定期借地権の例>
一般定期借地権(50年)
1年分の地代を200万円
として契約したと仮定すると、
50年分の地代(1億円)を一括で受領 → 納税資金に充当
地主は200万円を毎年収益に計上(50年)
借地人は200万円を毎年経費に計上(50年)
受け取った一時金は、1年分ずつ分割して収益に計上するため、税金の負担は大幅に軽減されます。また一時金は保証金と違って、契約満了時に返還する必要がないため、相続税の納税に活用することができます。
定期借地権の活用は、代々受け継いできた大切な不動産を守りながら、納税資金の準備ができ、さらに相続税も安くなるというメリットがあります。
※本ケースは例示であり、具体的な相談は税理士とともに対応いたします。
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