事例紹介

相続・遺言2021.01.6.遺産から収益が発生した場合の取り扱い

亡くなった人の遺産の中に、所有している不動産の賃料収入がある場合があります。遺言書が残されていなければ、遺産分割協議で相続財産の分配を決めることになります。

 

そして遺産分割協議を行った場合、不動産そのものは、被相続人が亡くなった日まで遡って直接承継し、相続人個々人の財産となります。相続人が複数名いる場合には、相続人間で争いがあったり、年齢の為判断能力が低下して後見人をつけないといけなことがあったりと協議が長期化する場合があります。

 

では、協議で配分が決まるまでの間にこの不動産から発生した賃料債権は誰のものになるのでしょうか。

判例は「遺産は、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃料不動産から生ずる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。そして、遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分委応じてた分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。」としています。(最高裁平成17年9月8日判決)

 

つまり、被相続人が亡くなった相続開始の時から遺産分割で相続の割合が決まるまでの間の賃料債権は、遺産分割で話し合って決めた配分ではなく、法定相続分に応じた配分でおこなうということなのです。賃料のような可分債権であれば、各共同相続人が単独で相続分に応じて取得しますし、不可分債権であれば、各共同相続人の準共有になります。

 

もちろん、相続人の間で合意をすれば、これと異なる取り扱いをすることも可能です。遺産分割協議書等で賃料が誰のものかを決めておくと、遺産分割で不動産を相続した人と相続開始から遺産分割までの間の賃料を取得する人が異なってしまうようなことがなく、誰が賃料を取得するかなどの争いも未然に防ぐことができるので、なるべく協議書に明示してはっきりさせておくことをお勧めします。

なお、遺言があり、賃料の発生する不動産の相続させる先が記載されている場合には、死亡直後から遺言内容にそって所有権が移転し、それに基づいて賃料債権も帰属しますので、賃料債権も相続開始時から遺言に記載された不動産の相続人のものになります。

 

また、株式の配当も同様で、各相続人が法定相続分で取得することが原則ですが、相続人全員が同意すれば、相続財産とともに遺産分割の対象とすることができます。相続開始後に配当金の支払いがある場合には、遺産分割協議によって誰が配当金を受け取るのかを決めておくとよいでしょう。

 

(文責 高橋)

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