相続・遺言2020.05.29.公証人に聞く相続法の改正後の実態(第二回目)
公証人に聞く相続法の改正後の実態(第二回目)
今回は前回に引続き、公証人に聞く相続法の改正後の実態、第二回目を記載していきます。
第二回目は、【預貯金の払い戻しの制度の創設】についてです。
旧法と改正法の違いとは。
旧法では、遺産分割が終了するまでは、被相続人の預金の支払が出来ませんでした。
改正法では、相続預貯金の一定割合(金額の上限あり)については、家庭裁判所の判断を経なくても、金融機関で支払いを受けることができるようになりました。
つまり、今まではお葬式代のお金や、その他故人のことで一時的にお金が必要になった時、相続人の誰かが立替え等で負担することが一般的でした。
それらを今回の改正法によって、そのような手間を省くことが籍るようになりました。
具体例とは。
被相続人は、A銀行に600万円の預金があったとします。
相続人は、長男と二男の2人だけです。
この場合、結論として長男と二男、どちらも単独で100万円まで払い戻しができます。
その計算式は、預金600万円×1/2(共同相続人の法定相続分)×1/3 = 100万円となります。
ただ、注意したいのは、1つの金融機関から払戻しが受けられる限度が150万円までということです。
ですので、同じ金融機関では、それぞれが100万円づつの払い戻しは出来ないということになります。
その他ご参考。
その①
被相続人が複数の銀行に預金口座を持っていた場合、1つの銀行に被相続人の死亡を伝えたからと言って、自動的に他の銀行の預金口座も凍結される訳ではありません。つまり各銀行ごとに、死亡の事実の連絡をしない限り、いつまで経っても口座は凍結されません。つまり、凍結されるまでは、キャッシュカード等で引き出しが可能なのです。
一般的には、銀行への連絡は、相続人や遺言執行者等がする場合が多いでしょう。
その②
被相続人が海外の銀行でJoint Account預金口座をお持ちの場合は、同口座に対しては相続自体が発生しませんのでご注意下さい。(2020.0309 ジョイント口座は、被相続人の相続財産に含まれるか?をご参照ください。)
文章:鈴木
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