事例紹介

不動産2022.05.31.仮登記と処分禁止の仮処分の優劣

はじめに

今回はマニアックな内容ですが、不動産業者さんは必見です。

契約から決済まで、通常は融資のために一ヶ月ほど開けることが多いですが、その間のリスクヘッジとして残代金支払いを条件として条件付所有権移転仮登記をすることができます。

これ自体、普通はしませんので、他から横槍が入りそうな状況の場合にしかしません。

では契約と同時に仮登記をした後、決済までの間に処分禁止の仮処分が入ってしまったらどうなるのでしょうか。結論から言うと、基本的には決済できません。

 

仮登記とは

条件付所有権移転仮登記はいわゆる二号仮登記になり、まだ権利変動はしていないものの順位を保全するためにする登記です。よく見かけるのは売買予約を原因としてされる登記です。

 

処分禁止の仮処分とは

裁判上の手続きで、相手に財産を処分されてしまうと支障がある場合に一時的にその必要性を疎明して(ざっくり証明して)処分をできなくする手続きです。登記は裁判所から嘱託でされます。例えば、遺言が有るのにそれを無視してある相続人が勝手に相続登記をして自分の持分を売却しようとしている際にするメリットがあります。この場合は遺言書で必要性を疎明します。

 

仮登記の本登記

仮登記を本登記にする場合、仮登記の後にされた登記は抹消されますが、登記名義人の同意か同意に代わる判決が必要になります。

通常、仮登記がされている物件を移転したり担保設定したりはしませんので、あえて登記がされる場合、事情を知った上でなにかしらの思惑で登記をしてきていることになります。

ただ、仮登記に遅れる登記は裁判をすれば登記は消されてしまいます。

処分禁止の仮処分は特殊で、仮登記よりも後にされていても、裁判所がその状況を認めた上で登記されているので、裁判をしても登記を消すことは難しいです。

処分禁止の仮処分がされている事情が解消されないと仮登記の本登記はできません。

普通は裁判になっているため、そちらの裁判が終わるのを待つことになります。

 

おわりに

契約から決済まで、時間を置くことはリスクです。予想外のことは発生します。どうしてもその売買をしたい場合、契約決済同時にすることで一番リスクを減らすことができます。

文責:庄田

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