事例紹介2019.07.31.仮想通貨・ブロックチェーン事業の定款の目的
新しく会社を作る際には必ず「定款(ていかん)」を作成しなければいけません。
定款とは、会社を運営する上で必要とされる基本的な規則を定めたもので、
「会社の憲法」とも呼ばれます。
定款には、(1)絶対的記載事項、(2)相対的記載事項、(3)任意的記載事項という
3つの記載事項があります。
(1)絶対的記載事項・・・定款に必ず記載しなければならない事項
・商号(会社の名称)
・目的(会社の事業内容)
・本店所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称及び住所
・発行可能株式総数
(2)相対的記載事項・・・定款に必ずしも記載しなければならない事項ではないが、
記載がなければその定めの効力が生じない事項
・現物出資がある場合についてその内容
・株主総会などの招集通知を出す期間の短縮に関する規定
・取締役会の設置に関する規定
・役員の任期の伸長についての規定
・公告の方法
・発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容
・株式譲渡制限に関する規定
(3)任意的記載事項・・・「絶対的記載事項」及び「相対的記載事項」以外に、
法律に反しない内容であれば、会社が任意で決めた事項を定款に記載することができる
・株券の不発行に関する定め
・取締役などの役員の人数
・事業年度に関する定め
定款作成後は、会社の本店所在地を管轄する公証役場に提出して定款の認証手続きを受けなければなりません。
特に「絶対的記載事項」の一つである「目的」は非常に大切で、会社法と民法の規定により定款で定められた目的の範囲内でのみ事業を行うことができます。
逆に言うと、「目的にない事業は行うことができない」ということになります。
しかし実際に目的を定めるにあたって、どのように書けばいいのか頭を悩ませる方は少なくありません。
ポイントは
◎適法であること
◎営利的であること
◎明確であること
◎具体性があること
などが挙げられます。
会社を設立して「すぐに行う」事業の内容だけでなく、「将来行うつもり」の事業の内容も記載するようにします。後々の変更の手間を省くためです。
定款の事業目的に記載があるからといって、必ずその事業を行わないといけないということはありません。
ただし、あまりに多すぎると取引先や融資担当者が登記簿謄本を見たときに何をしようとしている会社かよくわからないためあまり良い印象を持たれませんので、
5~10個くらいが妥当だと言われています。
当事務所では会社設立の際の定款作成業務のお手伝いをしておりますが、
最近仮想通貨・ブロックチェーンの事業を始められるご相談が増えております。
近年見られるようになった事業のため、定款の目的のサンプルが少なく皆さん悩まれます。
参考までに目的の一例を挙げます。
・仮想通貨の企画、開発、発行及び管理
・仮想通貨交換業
・資金決済に関する法律に基づく前払式支払手段の企画、開発、発行及び管理
・資金移動業
・仮想通貨、仮想通貨交換業運営及び資金移動業運営に関するシステムの企画、開発、制作及び販売
・ブロックチェーンに関するシステムの企画、開発、制作及び販売
・仮想通貨に関する調査、研究及び情報提供
・仮想通貨、トークン又はそれらに類似するものに対する投資
・上記各号に関するコンサルティング
・上記各号に附帯関連する一切の事業
これらはあくまで一例です。
定款の目的が認められるかとうかは、登記の申請を行う(新規設立の)会社の所在地を管轄している法務局で判断されます。
判断に迷った場合は事前に法務局に相談をするか、司法書士に相談されることをお勧めします。
(小関)
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