その他2017.11.10.成年後見制度とは①
最近よく聞く、成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、なんでしょう?
少し掘り下げてどういう制度なのか勉強してみましょう。
成年後見制度とは、広義にはその意思能力にある継続的な衰えが認められる場合に、その衰えを補い、その者を法律的に支援するための制度をいいます。
1999年の民法改正で従来の禁治産制度に代わって制定され、翌2000年4月1日に施行されました。
一口に成年後見といっても、民法に基づく法定後見と、任意後見契約に関する法律に基づく任意後見とがあります。
まずは法定後見制度についてお話したいと思います。
法定後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害等の精神上の障害にによって、すでに、判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をしたり、被害にあった契約を取消したりする制度のことです。
判断能力が減退している高齢者にも、悪質業者を含めて様々なセールスマンはやってきます。
巧みなセールストークに根負けしたり、だまされたりして不本意にも契約をしてしまうこともあります。
また、ヘルパーさんを手配したり、入院したりすることもあります。
こんなとき、その人のために、取消ができたり(同意権・取消権)、その人に代わって入院契約をしたり(代理権)する人が必要になります。
でも、すでに判断能力が不十分になっているので、契約によって依頼できません。
そこで、法律がそのような役割を担う人を決める仕組みを作りました。
これが法定後見制度です。
法律によって、支援者を定めることから、法定代理人という位置づけになります。
この法定後見制度利用の要件である判断能力の有無や程度については家庭裁判所が判断します。
法定後見制度で選任される法定代理人には以下の3つの種類があります。
①後見人
日常生活に必要な買い物もできない状態にある場合、後見人が選任されます。
後見人は日常生活に関する行為を除くすべての法律行為を代わってしたり、必要に応じて取消します。
⓶保佐人
不動産の売却・賃貸借、自動車の購入・金銭の賃借等といった複雑な契約を一人できない状態にある場合、保佐人が選任されます。
保佐人は申立時に本人が選択した特定の法律行為の代理権や同意権・取消権によって支援します。
民法第13条第1項の行為については、当然、保佐人に同意権・取消権が与えられます。
民法第13条第1項の行為とは、下記の行為です。
1.貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。
2.金銭を借り入れたり、保証人になること。
3.不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
4.民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
5.贈与すること、和解・仲裁合意をすること。
6.相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
7.贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
8.新築・改築・増築や大修繕をすること。
9.一定の期間を超える賃貸借契約をすること。
③補助人
不動産の売却・賃貸借、自動車の購入・金銭の賃借等といった複雑な契約を一人できるが、不安があり、本人が希望する場合は、補助人が選任されます。
補助人は、申立時に本人が選択した特定の法律行為の代理権や同意権・取消権によって支援します。
但し、補助人に付与される同意権・取消権の対象となる特定の法律行為は民法第13条第1項で定められているものに限ります。
後見等の申立ては、本人・配偶者・4親等内の親族等が家庭裁判所に申立書を提出してすることになります。
それから家庭裁判所が状況等を審査して、概ね2~4か月で審判がおります。
制度の利用までには時間がかかるので、「そのうち利用すればいい」と思っているかたは、早めに判断した方がいいです。
後見人等の候補者として、後見人として相当である場合で、相続人などに利害関係人全てから同意書がもらえる場合は、候補者が後見人等に選任される可能性が高いです。
後見人の主な業務は、本人の財産目録を作成して、年間収支計画書を作成し、本人に代わり財産の管理をすることです。
長期にわたる介護によるストレスは計り知れないものです。
現代では年老いた老人が老人を介護する老々介護も大きな問題となっています。
介護によるストレスにより介護放棄がされてしまうケースも多々あります。
後見申立てをすることにより、裁判所の目を通した公平で誠実な財産の管理を一任でき、介護によるストレスも大きく軽減される事になると思います。
高齢化社会に対応するため、一人でも多くの方が便利な制度を知り、一人で負担を抱え込まないでほしいと思います。
(文責:角谷)
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