事例紹介

事例紹介2018.02.5.遺産分割と税金

 

相続時にかかる税金の代表は相続税ですが、そのほかにも相続した不動産を売却すると譲渡所得税がかかります。

さて、昭和の時代には長男が全て相続していたような相続案件でも、「とりあえず法定相続分で分ける」というような遺産分割のお話が増えています。権利意識の高まりは大いに結構、仲良く分けるのが一番です。しかし、不動産に関しては、相続して売却し、そのお金を分配する場合、税金に関して注意が必要です。

 

 

◇遺産分割の類型

①現物分割

遺産そのものを分割する方法です。例えば、相続人が3人いて土地が1筆しかなければ、分筆登記をして3筆にして分けます。

 

②代償分割

一部の相続人が法定相続分以上に遺産を取得し、その対価を他の相続人にわたす分割方法です。相続人が3人で、土地が1億円、他に財産が無いものとすれば、一人が土地を取得し、残る二人に3333万円づつ支払う、という分割です。

 

③換価分割

遺産を売却し、そのお金を相続人で分割する方法です。

 

 

 

◇問題~自宅不動産を売却してお金を分ける~

 

被相続人M(母)

父親(既に他界)

相続人3名(長男A、次男B、長女C)

長男Aは亡くなった母と同居

相続財産は自宅の土地建物6000万円

 

・ケース1 売却して、金銭を分割する(換価分割)

・ケース2 代表相続人が相続してから、売却して、金銭を分配する(代償分割)

 

どちらも不動産を売却し、お金にして分けています。

換価分割、代償分割と名前が違う他に大きな違いがあります。それは「居住用不動産の3000万円特別控除」と「小規模宅地の特例」が使えるかどうかです。

 

3000万円特別控除

居住用不動産の3000万円特別控除とは、簡単に言えば、居住用の不動産については売却して利益が出ても3000万円はオマケしてあげよう、という譲渡所得税の特例です。使えるか使えないかで手取り額に非常に大きな差が出ます。居住用というからには、相続人が住んでいる必要があります。

 

小規模宅地の特例

また小規模宅地の特例は、亡くなった人が自宅として使っていた不動産を一定の相続人が取得する場合には相続税を安くしてあげようという相続税の特例です。

 

本ケースでのベスト

今回の場合、ケース2にあたる、同居していた相続人が代表して相続し、売却ののちに分配するという遺産分割協議書を作成すると、2つの特例が適用できる可能性が高く、一番税金を安く抑えることができます。

 

文言としては「長男Aは単独で下記自宅不動産を相続する。その代償として、AはB及びCに対し、それぞれ金2000万円を支払うものとする。」などと記載します。代償分割であることを明記することが重要です。

 

 

終わりに

極限まで簡略化した事案で説明させていただきましたが、大雑把にでもご理解いただけたでしょうか。実際の事案では税理士同席のもとお話をさせていただきますが、司法書士も基本的な部分は理解していないと遺産分割のお話ができませんので、今回は税金のことに触れてみました。インターネット広告で相続税申告30万円!などと謳っている安売りだけが能の税理士ではなく、本当に資産税(相続税)に詳しい税理士について一番詳しいのはおそらく司法書士です。ご相談ください。

文責:庄田

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