事例紹介2017.07.2.ゼロ葬
近年、葬儀をしない、遺骨の引き取りをしない、お墓を作らない、と三点揃ってゼロ葬と呼ばれるそうです。価値観の多様化、死亡年齢の高齢化、核家族化などにより伝統的な葬儀や埋葬のルールにも大きな変化が訪れています。葬儀と死後の諸々について考察してみたいと思います。
文責:庄田
葬儀をしない
ここでいう葬儀とは通夜・告別式を伴うセレモニーのことです。火葬だけの簡易な葬儀は直葬といい、ここでは区別します。
さて、葬儀をしないという選択をするにあたって問題となるのが主に2点です。
すなわち、法律的に問題ないのかということ、世間的に問題ないのかということです。
まず、法律的には葬儀自体をする義務はありません。死亡届は出す必要がありますし(戸籍法86条)、死体火埋葬許可証を発行してもらい遺体の処理をする必要はありますが、葬儀はあくまで自由です。
次に世間体の問題です。圧力といってもいいかもしれません。遠い親戚であっても葬儀をしないとなれば必ず「故人が浮かばれない」「成仏できない」という人たちが現れます。
そのため、生前にきちんと意思表示しておくことが大切です。公正証書などで意思を明確にしておくことで遺族が故人と親戚との間で板挟みになることを防ぐことができます。
遺骨の引き取りをしない
火葬をすると遺骨を一部引き取ります(拾骨)。引き取る量については地域によってかなり違いがあるようですが、いずれにせよ火葬場に残る遺骨(遺灰)はあるわけです。
なお、まったく引き取りしないと火葬に対応してくれない自治体もあるので注意が必要です。残った遺骨は法律的には一般廃棄物ですが、遺族感情を考慮し、納骨されるということになっています。自治体で最終的な処理場を提供しない場合には残灰処理業者には適切に供養をした証拠写真等を求めるようです。よって一応は火葬場側で処理してくれるため、遺族感情を除けば問題はないようです。
そして、遺骨を引き取らないということは仏壇を置かないことやお墓を作らないことにも繋がります。
お墓を作らない
お墓の平均価格は永代供養料と墓石代あわせて約200万円だという調査結果があります。いろいろと調べてると確かにそれくらいしそうです。この高額さがお墓を作らないという決断の一因になっていることは間違いありません。
また、継ぐ人がいない、子供に迷惑をかけたくない、そもそもお墓に興味がないという方もいらっしゃいます。「千の風になって~」という歌が大ヒットしたように、実はお墓よりも供養するという気持ちが大切だというように価値観が変わってきているのかもしれません。
結びに
私自身、遺言書を書いており、ゼロ葬を実現するために死後事務委任契約書も作成しています。会社を執行者にして全て処理してもらえるようにしてあります。葬儀はしたくありませんし、お墓はジメジメして入りたくありません。火葬はせざるを得ないので、遺骨は散骨してもらうように依頼してあります。葬儀は遺族のためのものですので、自分の自由にできない場合もありますが、自分の最後くらいは自分で決めたいものです。
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