事例紹介

事例紹介2017.04.6.建物表題登記を自分でしたい

自宅(戸建て)を新築すると、完成してから1か月以内に、建物の出生届に当たる建物表題登記という登記を法務局へ申請しなければなりません。

通常、この手続きは土地家屋調査士が代理しますが、自分で申請することも不可能ではありません。

今回は自分で申請するための手順と具体的な申請方法についてお話ししたいと思います。

なお、ご自宅を住宅ローンで買われる場合には難しいです。

銀行としては担保に取るので当然、専門家に登記を任せたいと考えます。登記が間違えていたら後で大変です。

また、ローンの日程が決まっており、かなりタイトなスケジュールの中で、引っ越しの準備や住民票の移動などに追われながら、何度も法務局へ行き、やったことのない登記申請という手続きをすることはあまり現実的ではないでしょう。

「表題登記を自分でする~」という本が出版されていたり、色々なホームページで10万円節約!などとうたっていますが、そんなに甘い話はありません。

10万円分くらいは大変です。やるからには一生に一度のことだから楽しんでやってやる!という気概で臨んでいただくことをお勧めします。

 

 

最初にすること

 

まずは、新築した建物の登記の管轄を調べます。

不動産の登記の管轄は法務局が司っており、調べればすぐにわかります。

「地名 登記管轄」で検索しましょう。

不動産登記と商業登記は管轄が違うため、きちんと法務局のホームページでご確認ください。

確認したら法務局へ行って事前調査をします。

調べること、取得する書類は以下の通りです。

 

1 建物を建てた土地の謄本を取得する

2 〃土地の公図(地図)を取得する

3 〃土地の地積測量図を取得する

4 建物図面・各階平面図の用紙があればもらう

5 土地に過去建物が建っていたかを確認する

 

1~3で既に持っているものは不要です。

4については市販のものがありますのでそちらでも構いません。

「日本法令 建物図面」で検索しましょう。

5は、土地上に既に建物の登記があると事前にその登記の滅失登記をしなければなりませんので、その確認です。滅失登記については別の機会に。

また、過去にその土地に建物があったら、後述する「家屋番号」が変わることがありますので、窓口で聞いてください。

 

 

現地調査

 

法務局での調査が終わったら、建物を建てた現地へ行って調査をします。

おそらく、それまでにも何度か行かれていると思いますが、建物が完成してから行く必要があります。

法務局で取得した資料と、メジャー、建築確認通知書一式を持っていきます。

調査項目は下記の通りです。

 

1 土地の境界が明示されているか

2 土地の境界から建物の外壁までの距離3か所をメジャーで測る

3 建物の工事が完成し、住居として利用が出来る状態か※足場が外れていなくても、お風呂トイレキッチンが備わっており、クロスも張り終わっていれば登記は出来ます

4 建築確認通知書の図面と相違はないか

5 ベランダや車庫など登記面積に入れるか入れないか微妙なところの確認

6 写真を撮る。建物を外から撮ったものを2,3枚、内部の居室、お風呂、トイレ、キッチンを撮ったものを5~6枚

 

 

必要書類等

 

現地調査が終わったら、書類を集めます。

おおざっぱに説明すると、①申請書、②住民票、③所有権を証明する書類、④建物の図面、⑤現地の写真を揃える必要があります。

 

1 申請書・・詳細は後述します

2 住民票・・所有者が載っているもの、例えば夫婦共有であれば世帯全員が載っているものを取得すれば1通で済みます。期限はありません

3 建築確認通知書・・建設業者さんからもらいます。分厚い冊子になっています

4 検査済証・・同じく建設業者さんからもらいます。通常2と同じ冊子に入っています

4‘ 4がまだ無いときは、工事完了引渡し証明書(印鑑証明書付)という書類を建設業者さんからもらいます

5 建物図面・各階平面図・・B4サイズ、長くなるので詳しくは次のコラムで

6 認印・・申請する人のもの

7 写真・・前出のもの7~8枚

2~4は全てコピーをして、そのコピーに法務局に置いてある【原本還付】というゴム印を押して、認印を押して、原本と一緒に提出します。

そうすると原本を返してくれます。

 

※必要書類に関して、イレギュラーはたくさんありますが、キリがないので代表的なものを一つだけ紹介します。

※2の建築確認通知書に載っている所有者と現在の所有者が違う場合、例えば当初は旦那さん単独所有の計画だったのが、奥さんとの共有で2分の1づつ所有する場合、上申書または承諾書と言われる書類を法務局へ提出する必要があります。

上申書には所有者全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

 

 

申請書の作成

 

登記申請書見本の見本を掲載します。コピー等ご自由にお使いください。物件・当事者はフィクションです。

 

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登記申請書

   登記の目的 建物表題登記

   申請人 東京都新宿区神楽坂五丁目23番地 神楽坂KSビル3階

       庄田和樹  ㊞

   連絡先 03-5946-8698

   添付書類 住民票 建築確認通知書 工事完了引渡し証明書(印鑑証明書付)

        建物図面・各階平面図

   平成29年3月8日申請 東京法務局新宿出張所 御中

   送付による登記完了証の返却及び原本還付を希望します。

   物件の表示

   所在 新宿区神楽坂五丁目23番地1

   家屋番号 23番1の2

   種類・構造 木造スレートぶき2階建

   床面積 1階29.81㎡ 2階29.81㎡

   登記原因及び日付 平成29年3月2日新築

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実際の申請について

 

書類が全部揃ったら、返信用の封筒(赤いレターパックに住所を記入)を付け、法務局へ申請します。直接でも郵送でも構いません。

何か間違いがあったら補正してくださいという電話がありますので(おそらくなにかしらの間違いはあると思った方がいいです)、補正の手続きをし、2週間ほどで登記は完了です。

郵送返却希望の旨を申請書に書いておくと書類を返送してくれますので、完了したことが分かります。

実は、建物の登記簿謄本は一緒に送ってはくれないので、改めて取得する必要があります。

 

 

結びに

 

図面作製は長くなるので次の機会にしますが、これで建物表題登記の申請は終わりです。

これでもかなりざっくりとした説明になります。

ハウスメーカーなどで建築された一般的な住宅であればこれで申請できると思います。

もしわからない点があれば、お問い合わせからメールをいただければ無料でお答えします。

これを機に少しでも登記というものに興味を持っていただけると幸いです。

(文責:庄田)

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