事例紹介

不動産2017.03.24.住宅用家屋証明書

不動産業界の方、一度ご自宅を購入された方はご存知でしょう住宅用家屋証明書。

聞きなれない方の為に簡単に説明すると、一定の要件を満たすと不動産の取得に係る税金を大幅に節税出来る魔法の紙です。

 

自分で居住する為に取得する不動産で、登記簿上の床面積が50平米以上のものについて原則取得する事ができます。

この証明を受ける事ができると、新築の不動産の保存登記の登録免許税は評価額の0.4%→0.15%、建物の所有権移転登記は2%→0.3%、住宅の取得に係る抵当権設定登記は0.4%→0.1%に軽減することができます。

細かいので税率の計算方法については省略しますが、不動産の取得税についても軽減を受けることができます。

 

具体的に、上記要件を満たす築5年のマンション(建物課税価格1500万円、土地課税価格1000万円)を4000万円の住宅ローンを組んで購入したとします。

この場合軽減を受けられない場合、登記名義を変更するのにかかる税金が計金610,000円、不動産取得税が計金750,000円かかります。

これが軽減を受けることができると、登記名義を変更するのにかかる税金が計金235,000円、不動産取得税が計金90,000円となります。

少し極端な例ですが、軽減ができる場合とできない場合では収める税金が金1,035,000円も異なることになります。

 

これだけ減税をすることができる証明書であるため、取引の代理人として、要件を満たす限りは絶対に取得しなければならない書類です。

 

この住宅用家屋証明書を取得するにあたっての手続きは役所によって微妙に異なります。取得する家屋に居住することを証明する書類なので、物件を購入される方が事前に住民票を物件上の住所に移すことができていれば必要書類も簡単なのですが、旧住所のまま申請手続きをする場合には、申立書や売渡証書、現在住んでいる物件の賃貸借契約書等必要書類が色々増えます。

 

必要書類が色々と増えるのは仕方のないことですが、23区内の役所の対応がまちまちです。

司法書士として困るのが、住宅用家屋証明書中に記載する物件の取得日が、未来形の日付で申請できないということです。何が困るかと言うと、通常売買契約には特約がついていて、残代金の決済手続きをもって所有権が移転することになっています。

なので事前に取得しようと思うと、実際に所有権が移転する日付よりも前の日付を記入して申請しなければならないことになるのです。実際に所有権が移転した日付と異なる日付が取得日になっている証明書を添付して登記を申請するのは抵抗があります。

 

決済日以降しか証明書をとれないという杓子定規な考え方は司法書士いじめとしか考えられません。決済日は時間がないんです。

だれかお役所の偉い方がこの記事を見て運用のしかたを改善してくれることを願います。

 

(文責:角谷)

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