事例紹介2021.03.15.ベンチャー企業の法令順守の必要性
増加するスタートアップ投資
日本のVC(ベンチャーキャピタル)の約25%、グローバルでも約30%のVCが
スタートアップへの投資を増加させる意向――。(※1)
デロイトトーマツベンチャーサポートが2020年5月にそんな調査結果を発表しました。
Withコロナ時代ですが、「スタートアップへの投資を行うVCは、不況期こそが良質のスタートアップを生み出すと考えており、この機会こそチャンスであるととらえている。」(※1)とのことです。
一方で、混乱が続いている世界情勢における悪影響を懸念する声もあり、コロナ禍における
今後の予測は不透明と言わざるを得ません。
ただ、ここ数年で見ると市場は広がりをみせており、2019年の日本国内のVC等の国内投資額は2,124億円で、前年比24.5%増となっています。(※2)
また、起業数自体も増加傾向にあります。
ベンチャー企業の資金調達
最近では在庫や設備投資がいらない等の理由から、資金調達が必要ない起業も増えていますが、
それ以外のケースで資金調達を考える時、ベンチャーキャピタルからの出資を思い浮かべる人が多いかもしれません。
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業など、高い成長が予想される
未上場企業に対して投資を行う機関のことです。
この投資で期待されるリターンは、基本的にはキャピタルゲイン(有価証券や不動産など、保有
している資産を売却することによって得られる売買差益)で、ベンチャー企業側が目指すのは
下記の2つです。
- 会社の株式を株式取引所に上場させること
- 会社がM&A(合併・買収)されること
上場・M&A達成に必要なこととは?
これらを目指すには、起業ビジネスの成功は勿論のこと、法令遵守を初期の段階から強く
意識することが大切です。
上場する際には、反社会的勢力が関与していないかのチェックも厳格に行われ、
内部監査の状況やコーポレートガバナンス等、法令や規則を遵守しているかも隅々まで
調べられることになります。
重要な法令や規則に反していると上場できなくなりますので、
内部統制がしっかりできていることが大切です。
専門家の活用の重要性
事業が軌道に乗り、上場を準備する頃には専門家に相談する人がほとんどだと思いますが、
実は最初の段階(創業時期がイメージできた頃)から専門家に相談することはとても大切です。
知識が不足していたばかりに起業でやってはいけないことをやってしまうと、
取り返しがつかなくなるからです。
会社設立は自分でも出来るが?
もちろん会社を設立する際には、専門家に依頼せずとも自分で登記をすることも可能ですし、
最近では定款(会社の根本的な規則)もインターネットから無料のひな形をダウンロード
するなどして自分で作成することも可能です。
ただ、定款は会社の土台・基礎となる部分であり、「とりあえず」ではなく、
きちんと将来を見据えた状態で会社のビジョンに合わせて作る必要があります。
実際、起業の際に定款作成を専門家に依頼しているのは57.1%と半数以上です。
また、自分で定款を作成している方でも、63.9%の割合で公証人の認証を受ける前に
第三者(司法書士等の代理人)に確認してもらっています。(※3)
専門家の選び方も大切
このように、起業時の手続きを司法書士に依頼するケースは多いですが、
皆さんが依頼する際に是非チェックしていただきたいのは、登記だけではなく、
法務面でもサポート可能な司法書士(法人)かどうかです。
実は、ベンチャー、上場企業を目指す企業のサポート経験がある人はそう多くはありません。
司法書士は、登記の専門家なので(司法書士以外は代理で登記業務をすることができません)
会社設立や役員変更の際の登記はどの司法書士でも対応可能かと思いますが、
例えば将来を見据えた資金調達やストックオプション(自社株をあらかじめ決められた価格で取得できる権利)
等に対してもアドバイス可能かどうか確認し、ベンチャー企業のノウハウがあるところなのか、
法務アドバイザーにもなりうるところなのかを是非確認してみてください。
その点、弊所の代表は、実は司法書士法人だけでなく、一般の会社の立ち上げ・経営もしておりますので、
その経験をもとに経営者の皆様に寄り添ったご提案が可能です。
ベンチャー企業の成功率をあげるために全力でサポートさせていただきます。
(※1)デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 「Withコロナ時代のイノベーション戦略~大企業等300名緊急アンケート結果から考える~」より
調査期間:2020年4月17日~2020年4月22日
(※2)一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター 「2019年度ベンチャーキャピタル等投資動向」より
(※3)「創業手帳」「起業時の手続き(定款作成)についての意識調査」より 平成30年2月24日~3月1日 https://www.dreamnews.jp/press/0000170174/
参考文献:磯崎哲也『起業のファイナンス 増補改訂版』日本実業出版社、2015年
文責:山本、庄田
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