事例紹介

事例紹介2020.03.9.ジョイント口座は、被相続人の相続財産に含まれるか?

Joint Account をご存知でしょうか?

 

皆様は、Joint Account(ジョイント口座、共同名義口座)という口座をお聞きになったことがありますか?

日本の銀行にはない口座なので、多くの方には聞き慣れない口座だと思います。

 

海外の銀行には、Joint Account(共同名義口座)という預金口座があります。日本の銀行では、個人の預金口座を作成する場合、個人1名だけの名義でしか口座を作成できませんが、海外の銀行では、例えば、夫婦や親子など2名の共同名義での預金口座を作成することができます。これがJoint Account と呼ばれるものです。つまり、Joint Account とは、2名の名義人(共同名義人)で開設する銀行預金口座を言ます。

 

ジョイント口座には、次のような特徴があります。

  • 相続の問題が発生しない。
  • 口座が凍結(支払い差し止め)されない。すなわち、残された他の共同名義人が自由に預金を引き出せます。

 

ジョイント口座をお持ちになっている日本人すべてが、このような特徴を理解し、認識したうえでこの口座を開設したかどうかは不明です。ただ、結果として、一方が亡くなった場合は、他方の生存名義人のものになってしまうのです。

このような銀行預金口座の特徴は日本の銀行にはないので、日本人でこのジョイント口座の存在を知っている人はそれほど多くいないでしょう。

それゆえに、実際にジョイント口座を持っている人に相続が発生した場合に、相続人間で争いが生じることがあります。その典型的な東京高裁の判決(平成26年)がありますので、簡単にご紹介いたします。

 

 

事案の概要

 

夫婦でAccount Account 口座を保有。夫が死亡。

子(前妻との子)が、母(夫の妻)を訴えた事案です。

 

米国のハワイ州の銀行で開設されたジョイント口座が、被相続人(亡夫)の相続財産に含まれるかどうかが争われました。

 

一審の東京地裁は、

「ハワイ州法では、共同名義人の一人の死亡により生存名義人が自動的に死亡名義人の財産を所有するとされていること、などを踏まえると、ジョイント口座は相続の客体とはなり得ないため、被相続人の“私法上の相続財産”を構成しない」と判断した。

その後の、控訴審である東京高裁の判決も第一審判決を支持した。

 

二審の東京高裁は、本件のハワイ州の銀行との預金契約では、預金口座は預金口座の所有地(ハワイ州)の法律により規律されるとの規定があるため、ジョイント口座が相続の客体となり得るか否かは、ハワイ州法によって判断すべきとした。

また、ハワイ州法では、ジョイント口座は生存名義人に帰属させないとする意思の存在を裏付ける明確で客観的な証拠等がない限り、生存名義人に帰属すると規定されていることを指摘。

さらに、ハワイ州法では、共同名義人の死亡により、生存名義人が自動的に死亡名義人の財産を所有するとされ、死亡名義人の遺産を構成しないことが明示されていることも指摘。

その上で、東京高裁は、ジョイント口座の残高を、生存名義人に帰属させないとする本件被相続人の意思の存在を裏付ける証拠等がないことを指摘し、ジョイント口座は死亡名義人の“私法上の相続財産”を構成しないと判示した。

 

まとめ

 

以上の通り、ジョイント口座は一方の名義人が死亡しても、預金残高は自動的に他の生存名義人のものになります。相続の際に、海外預金があることが判明した際には、ジョイント口座であるかどうかを確認された方がよろしいかと思います。

(鈴木)

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