事例紹介

相続・遺言2018.01.12.葬儀の費用を用意するには

先日、知り合いのAさんの叔父様が亡くなった時のこと。おひとり様だった叔父様は、Aさん一家の近くに住んでいながらほとんど交流がなかったうえ、叔父様自身が生前になにも準備をしていなかったため、亡くなった後、残された親族は何をどうすればよいかわからず本当に大変だったようです。

突然やってくる死後の様々な手続きに関し、まず気がかりになるのは、葬儀費用は誰が支払うべきなのか、ということではないでしょうか。故人が支払うべきなのか、それとも相続人が支払うべきなのでしょうか。

葬儀に関しては、法律にはなんら規定はありません。相続税に関しては「葬儀費用は故人の遺産の中から控除できる」という規定はありますが、「故人が支払わなければならない」ということではありません。故人を取り巻く人々の考え方によって、「喪主が支払うべき」「相続人全員が均等に支払うべき」「香典から支払う」「故人の遺産から支払う」「相続人間の話し合いで決める」など様々な方法が考えられます。

 

葬儀費用は自分で貯蓄しているから大丈夫!と思っていても、本人が亡くなったら預金口座は凍結され、基本的に引き出すことができません。遺言書を残していなければ、相続人間で話し合って遺産分割協議書を作成し、金融機関に提出しなければ、葬儀費用を引き出すことはできません。また、本人が生前に家族や親族などの第三者に葬儀費用を預ければ、贈与とみなされることもあります。

エンディングノートに書いているから…と思っていても、エンディングノートには法的拘束力がないので、預貯金を引き出すことはできません。

 

こういった場合、「死後事務委任契約」を締結し預託できるようにしておけば本人が亡くなる前に第三者が金融機関から葬儀費用などを引き出すことができます。

死後事務委任契約とは、相続対策のページでもご紹介している通り、委任者が受任者に亡くなった後の諸手続きや葬儀・納骨・埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後の事務手続きを委任する契約のことをいいます。

死後事務委任契約では、葬儀は誰が行い、誰が費用を支払うのか、またどんな葬儀をしてほしいかなどを決めることができます。

 

近年は様々なスタイルの葬儀があり、多様化しておりますが、おもな葬儀の種類と費用の目安をご紹介します。葬儀の内容と費用の面から検討してみてください。

〇一般葬

通夜・告別式を行う一般的な葬儀の形です。遺族や親族のほか、故人の友人・職場関係者・近隣住民など幅広い人に参列してもらいます。葬儀費用は、葬儀社・車両・物品・お花・返礼品・飲食・火葬場・式場・宗教者のお礼などを計算します。

費用の目安:100~200万円

〇家族葬

近年増加傾向にある葬儀の形です。故人の家族のみ、または親族や近親者を加えた少人数で行う葬儀です。香典や供物などを辞退して、会食を行わないケースも多く、費用は比較的安く抑えられます。簡略化したために抜け漏れが生じ、後で必要経費が追加にならないよう、気を付けましょう。

費用の目安:60~150万円

〇一日葬

通夜を行わず、葬儀と火葬のみを一日で行う形式で、最近よく見受けられます。通夜がないとはいえ、葬儀は執り行うので極端に相場が低いわけではありません。葬儀社・車両・物品・お花・返礼品・飲食・火葬場・式場・宗教者へのお礼などを計算しますので、通夜の飲食は削減されますが、他は一般葬とあまりかわりません。

費用の目安:50~140万円

〇直葬

通夜や告別式を省略し、火葬だけで終える葬儀です。火葬場へ払う費用のほか、寝台車で運んだり棺に納めたりする費用もかかります。また日本の法律では亡くなってから24時間は火葬ができませんので、その間安置するための費用もかかります。宗教儀式をしないので費用は比較的安く済ませられますが、故人とのお別れの時間を十分にとることができません。

費用の目安:20~30万円

〇自由葬

伝統的な形式にとらわれず、故人の趣味や人となりを反映したオリジナルの葬儀です。例えば、生演奏を取り入れた音楽葬などがあります。以前、御焼香の代わりに故人のまわりに参列者が一つずつキャンドルをお供えするキャンドル葬に参列したことがあります。従来の形に囚われない個性的なスタイルでした。

費用の目安:希望する演出による

〇自然葬

自然葬とはご遺骨を埋葬せずに散骨する葬送方法です。土に埋めたうえで植林する樹木葬や海に撒く海洋葬などがありますが、海洋散骨は専門業者に依頼します。散骨するには法律や条例に基づき節度を持って行うことが前提となります。

費用の目安:樹木葬 50万円程度

海洋葬 5~30万円

〇お別れの会

家族・近親者のみで火葬を行い、後日、故人の友人・知人・会社関係者やご縁のあった方々を招いてお別れをする形式です。ホテルなどで会費制で行われることもあります。

費用の目安:会場・規模・演出などによる

 

そのほか、亡くなる前に企画して行う生前葬などもあります。

ご希望する葬儀のスタイルがあれば、生前に委任しておく死後事務委任契約によって実現させることができます。他人に迷惑をかけたくない、死後のことも自分の意志で決めておきたいという希望をかなえてくれるのが、「死後事務委任契約書」です。

高橋

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司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
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