事例紹介

不動産2017.03.3.境界確定を求められたら

境界確定とは

 境界確定は土地家屋調査士の専門分野です。しかし、境界確定といわれてもピンとくる人はあまりいないかと思います。土地や法律のことに詳しくない方でも境界とその確定のことが分かるように、極力簡単にお話ししたいと思います。

 

そもそも

 戸建てにお住まいの方は、隣地の方から「境界確定の立会いをお願いします」と言われたことはありませんか。日常生活で「境界」という言葉は様々な意味で用いられていますが、こと土地の境界といえば、主として筆界または所有権界のことをいいます。

 筆界とは、法務局が管理する土地の境のことです。土地には基本的に全て地番が振ってあり、法務局では地番の境を図面とデータで管理しています。余談ですが、土地を数えるときは1筆、2筆と数えますが、これは筆界の基を作った地租改正の際に、所有者などの情報を一筆書きで書き下したことが由来だといわれています。

 所有権界とは要するに、自分の所有している土地の権利の及ぶ範囲です。当たり前のことだと思うかもしれませんが、日本で土地の所有権が認められたのは明治の初期ですから、意外と歴史は浅いです。自分の土地がどこまでの範囲なのか分からないということや、知らないうちに隣のうちの土地を使っていたなんてことはよくあります。

 

筆界と所有権界

 境界確定の話に戻ります。境界確定の境界とは、筆界のことです。そのものずばり筆界確定ということもあります。所有権界ではありません。この二つの違いが理屈では分かっても実感として理解できないのは、通常この二つが一致しているからです。逆に言うと、境界に関して隣地とトラブルがあるとき、多くの場合は所有権界と筆界にずれが生じています。例えば、境界は通常、杭や鋲、プレートなどによって表されますが、それらがなんらかの理由で存在しない場合、誤った位置を筆界と認識して、そこを所有権界として占有(自分の土地としてつかうこと)すると時効取得が成立することがあります。こうなると、筆界と所有権界はずれてしまいます。

 

不一致の是正

 筆界と所有権界に不一致がある場合、どちらかを正しい方に合わせる必要があります。所有権界は、民法で所有権の自由が認められているため、土地を一部売却したりすることで動かすことが出来ます。対して筆界は、法務局の管轄する公的な存在です。原始的に間違いがある場合の特殊な手続きを除き、勝手に動かすことは出来ません。分筆や合筆と言って境目を細かくしたりくっつけて大きくしたりすることはできますが、例えば平行に5メートル移動するといったことは出来ません。埋まっている杭を勝手に動かしても、図面やデータが残っていますのですぐにわかってしまいます。なお、境界を勝手に動かすことは境界損壊罪(刑法262条の2)で5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

 

境界を確定する

 畢竟、境界確定とは、法務局の資料や現地の杭などの状況、所有者方の証言に基づきどこが真実の境界なのかを立会いの下確認し、境界確認書(または筆界確認書)という書面にすることで後々の争いをなくすための手続きです。地主さん、戸建てにお住まいの方はもちろん、マンションにお住まいの方も理事会を通じて境界確認を求められることはあると思います。境界確定の立会いを依頼された場合には、是非とも寛大なお心でご協力をお願いいたします。

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