事例紹介

不動産2025.10.1.マンション等の規約共用部分の取り扱いについて

はじめに

 マンションを相続したり売買したりする際に、登記のために固定資産評価証明書などを取得すると、マンションの部屋・敷地のほかに車庫、管理室、集会所などが記載されている場合があります。登記情報を確認した際に各所有者の持分の記載がなく、「○○年〇月〇日規約設定共用部分」といった記載がある場合、その建物や区分建物は規約共用部分となり、マンションの所有者が共有している扱いとなっています。この場合はマンション所有者各自が共有部の持分を持っている場合とは扱いが異なるので注意が必要です。

所有権移転の際の登記の要否

 例えばマンションの管理室などの登記情報を見た際に「山田太郎持分100分の1」といった記載がある場合は、マンション一室の所有権とは別に管理室などの持分移転の登記もしないと、その分の権利は移転しません。この場合は相続登記などをする際に、持分を見落としてしまうと登記漏れのまま持分が残ってしまう可能性があります。それに対して規約共用部分は共用者としての権利が区分建物の所有権に付随して移転しますので、登記せずとも区分建物を購入したり相続した方が共有者として扱われます。

登録免許税の扱い

 規約共用部分がある区分建物の所有権移転があった際の、登録免許税の扱いについては明確な根拠は見当たらないものの、課税の対象として扱われる場合が多いようです。評価証明書などの価格は建物1戸の価格がそのまま表記されることが多いので、計算式は「規約共用部分の建物1戸の価格×敷地権割合」を区分建物の評価額に加算し、税率を掛けるなどが想定されます。

 ただし、上記の通り課税の計算式について明確な根拠はないので、正確な登録免許税額を知りたい場合は、事前に管轄の法務局に照会することをお勧めします。

おわりに

 規約共用部分は所有者移転をすれば登記せずとも共有者となる点など、敷地権に似た扱いとなります。しかし敷地権がマンションの登記情報を見れば確認できる一方で、規約共用部分はマンション各部屋の登記情報には載りません。持分移転の登記は不要なので、見落としていて前所有者の名前が残ってしまうといったことはありませんが、登記申請後に登録免許税の修正を求められると手続きの負担が増えてしまいます。

 ご自身で判断がつかない場合にはぜひ神楽坂法務合同事務所にご相談ください。

(文責:安住)

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