事例紹介

許認可2026.09.30.建設業の常勤役員等(旧経営管理責任者)の要件について

はじめに

建設業法第7条第1項には、建設業許可を取得するのは「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」でなければならないとの規定があります。この規定の「管理を適正に行う」の部分を具体化したものが、「常勤役員等(旧 経営管理責任者)」の設置義務となります。常勤役員等の要件は一見簡単に見えて複雑な部分も多いので、事前に詳細を確認しましょう。

常勤役員等の要件

建設業法施行規則に記載された常勤役員等の要件は以下の通りです。

イ 常勤役員等1名で要件を満たす場合。

(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者

(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

ロ 常勤役員等1名と財務管理、労務管理、業務運営を行う補佐者が付く場合。

(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者

(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者  

イは役員のうち1名が(1)~(3)の要件のいずれかを満たしている場合に該当し、新規の建設業許可は大半がこの条件を満たした方を常勤役員等として申請しています。ロは役員に関する要件は緩和されていますが、各分野で補佐者が必要になり役員1名+管理業務のスタッフ1~3名が必要になります。複数名の方の要件確認が必要になりますので、その分必要書類の数も作成の手間も増えることになります。

「管理責任者」と「管理責任者に準ずる地位にある者」

規則のイには「管理責任者」と「管理責任者に準ずる地位にある者」が出てきますが、これはどのような方を指すのでしょうか。

まず「管理責任者」は原則的には法人においては取締役、個人事業においては事業主本人を指します。法人の執行役員・監査役・会計参与はここで言う「責任者」には含まれず、これらの地位にあった期間は規則イ(1)の経験年数には計算されません。なお以前は取得したい業種での経験とそれ以外での経験で必要期間が異なりましたが、現在は業種問わず経営業務管理責任者としての経験5年に統一されています。

一方で「管理責任者に準ずる地位にある者」は、取締役(合同会社であれば業務執行社員)の一つ下の職位にあって、建設業の経営業務について委任されている者のことを指します。もう少し噛み砕いて言えば、会社組織の中で取締役会(合同会社なら社員)の直下で管理業務にあたる従業員のこととなります。登記簿に記載のあるような会社法上の地位を指すわけではないので、権限の委任があったことを客観的に立証できれば認められるものですが、裏を返せば立証資料がないと全く認められない性質のものとも言えます。立証にあたっては組織図だけではなく、権限の委任について定めた定款や社内規定・規則、権限の委任を決定する取締役会議事録や人事発令書等が求められます。イ(3)の要件を満たすことを目指すのであれば、しっかりとした準備が必要です。

終わりに

「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」の要件は複数あるので、何年か経験があればどれかには当てはまるだろうと考えがちですが、条文ごとに細かな条件が異なり、準備段階からしっかりと整理しておかないと、役員就任後5年が経過しても経験が認められないということにもなりかねません。常勤役員等への就任は長期目線での準備が必要不可欠です。申請段階で行政側から指摘を受けて慌てないためにも、早い段階で専門家に相談することを推奨いたします。

(文責:安住)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ