事例紹介

事例紹介2025.12.1.成年後見制度の「調査」と「鑑定」の違いについて

はじめに

 高齢のご家族に認知症の症状が見られたり、意思能力が不十分になったときに検討しなければならないのが「成年後見制度」です。
 成年後見制度の中でも、まだある程度の意思能力が残っている方を対象にしているのが「保佐」や「補助」です。
 これらの制度を申し立てると、「調査」や「鑑定」が行われることがあります。 
 そこで今回は、「調査」と「鑑定」の違いを、できるだけ分かりやすくご紹介します。

「調査」とは

  家庭裁判所の調査官が行う、本人や家族への面談・確認のことで、「保佐」「補助」を申し立てた場合は、原則として必ず行われます。調査では、本人の判断力や生活状況、家族との関係、支援の必要性などを総合的に確認します。

~調査で行われる主な内容~

①本人との面談(判断力の様子や意思の確認)
②家族や申立人への聞き取り
③診断書や財産等の確認
④必要に応じた施設・病院への照会

費用は無料。申立人が負担することはありません。

「鑑定」とは

  医師が行う、判断能力の医学的な診断です。診断書だけでは本人の判断力が十分に分からない場合など、裁判所が必要と判断したときに「鑑定」が命じられます。

~鑑定で行われること~

①専門医による面談・診察
②認知機能の検査(例:MMSE)
③医学的判断に基づく報告書の作成

鑑定費用は有料(5万〜10万円程度)で申立人の自己負担になります。

「調査」と「鑑定」のちがい まとめ

比較項目

調査

鑑定

実施者

家庭裁判所の調査官

医師(精神科など)

内容

面談・書類確認・家族聴取など

医学的診察・検査

対象者

本人・家族・関係者

本人のみ

費用

無料

有料(5〜10万円程度)

実施の有無

「保佐」「補助」の場合は原則として行われる

必要と判断された場合のみ

 

 調査も鑑定も、いずれも「その人に最も合った支援方法を見つけるため」に行われる手続きです。不安に思う方も多いですが、本人の意思や生活を尊重するための大切なプロセスといえます。

 まずは制度の仕組みを知って、成年後見制度を取り扱っている専門家へご相談ください。

(文責:川添)

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