事例紹介

事例紹介2025.01.1.債権者保護手続における知れたる債権者への各別の催告の省略について ~公告方法を官報から日刊新聞紙又は電子公告にする方法に変更した際の注意点~

債権者保護手続の原則と例外

合併や減資を行う場合には、当該会社の債権者に影響がおよぶため、債権者保護手続が必要とされております。債権者保護手続は、原則として、官報に公告を掲載し、かつ、知れたる債権者への各別の催告をする必要があります。
知れたる債権者が1社のみ等、債権者の数が少ない場合は、当該債権者に各別に催告をすればよく、特段問題にはなりません。しかし、債権者の数が100社以上という会社も少なくないと思います。このように債権者の数が多い場合に、債権者に各別の催告を行うとなると手続が非常に煩雑になります。
そこで、例外として、官報に公告を掲載することに加え、定款の定めに従い日刊新聞紙による公告又は電子公告をした場合は、債権者に対する各別の催告を省略することが認められております。これを実務上「ダブル公告」と言います。

公告方法を官報から日刊新聞紙又は電子公告にする方法に変更した際の実務上の問題点

もともと公告方法が官報となっている会社がダブル公告を行う場合は、株主総会の特別決議によって、公告方法を官報から日刊新聞紙又は電子公告にする定款変更が必要です。また、公告方法は会社の登記事項であるため、公告方法の変更登記の申請も必要となります。
ここで、公告方法の変更登記申請前に日刊新聞紙又は電子公告による公告の掲載の日が到来しても問題ないかという点があります。もう少し具体的に申しますと、実体では、決議で日刊新聞紙又は電子公告変更への定款変更の効力が生じているが、会社の謄本には、いまだ公告方法が官報となっているという場合に、日刊新聞紙又は電子公告に公告が掲載されるということに問題はないかという点です。

公告掲載の日の前に公告方法の変更登記の申請をする必要がある

上記の問題について、結論として、公告掲載の日の前に公告方法の変更登記の申請をしている必要があるとされております(商事法務第1481号36頁、登記研究905号155頁)。

スケジュールには余裕をもって

債権者保護手続が伴う手続は、スケジュールに余裕をもって臨む必要があります。合併や減資等におきまして、弊所ではスケジュールの作成から対応いたします。お気軽にご相談ください。

(文責:佐々木)


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