事例紹介

事例紹介2024.10.15.未支給年金は遺産分割の対象となるか

はじめに

遺産分割は亡くなられた方(被相続人)の死亡日時点の相続財産が対象となります。ですが遺産分割をする際に、それが相続財産にあたるのか判断に迷うような金品も少なくありません。今回は被相続人が亡くなったあとに受け取るお金の代表格である未支給年金についてとりあげます。

未支給年金とは

公的年金は原則として完全に後払いです。年金は偶数月ごとに支給月の前2月分が支払われます。例えば令和6年8月に支給される年金は令和6年6月・7月分です。年金は受給者が亡くなった月の分まで支給されますので、令和6年7月に亡くなった方の6月・7月分の年金の支給日は死亡日の後になってしまい、一旦宙に浮いた状態になります。これを未支給年金と言い、後払いという制度上、年金受給者が亡くなった場合かなり高い確率で発生します。

未支給年金を受け取れる方は相続人とは限らない

未支給年金は被相続人が生きていれば受け取れたお金であり、一見すると遺産分割の対象になりそうですが、実際には遺産分割の対象とはなりません。
未支給年金を受け取れるのは相続人ではなく、生計を同一にしていた遺族(生計が同一の遺族が複数いる場合の優先順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族となります)と定められています。例えば被相続人の遺族が、別居で完全に生計が別の子と、同居で生計が同一の母の二人の場合、相続人となるのは子ですが、未支給年金を受け取れるのは母となります。
未支給年金を受け取れる遺族は、全額をそのまま受け取ることができ、遺産分割や相続人に引き渡すといったことは必要ありません。

おわりに

支給の条件や対象者は異なりますが、被相続人の死亡に伴う、公的な保険制度からの支給(未支給年金のほか、国民年金の死亡一時金や健康保険の埋葬料などがあります)の多くは支給対象者の方がそのまま受け取れ、遺産分割の対象とはなりません。
遺産分割協議を行う際には遺産等を調べ、相続財産とそうでないものを仕分ける作業が必要になります。
ご自身で整理するのが難しいと感じた際は、ぜひ専門家にご相談ください。

(文責:安住)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ