事例紹介

商業登記2024.06.3.免責の登記② ~会社分割に伴う免責の登記について~

会社分割に伴い承継会社又は設立会社が免責の登記をすることができるのか?

会社分割には、ある事業を、別の会社に承継させる吸収分割と、新たに設立する会社に承継させる新設分割がありますが、いずれの場合であっても、会社分割に伴い承継会社又は設立会社が商号又は屋号を続用する場合に、免責の登記は可能とされております(登記研究675号247頁、740号26頁以下)。

新設分割の際に同時に免責の登記もする場合における登録免許税について

ここで、あまり議論されていない論点をご紹介します。ご依頼される方が気にされるお金、登録免許税のお話です。


新設分割の際に免責の登記をする場合は、新設分割による設立登記と免責の登記を同一の申請情報に記載して申請します。


新設分割による設立登記の登録免許税は『登録免許税法別表第1二十四(一)ト』であり、具体的には、設立する会社の資本金の額に1000分の7を乗じた金額となります(なお、計算の結果が3万円未満の場合は3万円となります)。一方、免責の登記の登録免許税は『登録免許税法別表第1二十四(一)ツ』であり、申請1件につき3万円です。


上記のとおり区分が異なり、そのため、通常、区分が異なる場合はそれぞれ課税がされます。


確かに、区分が異なるのですが、例えば、新設分割により設立する会社が取締役会設置会社の場合に上記の会社の資本金の額に1000分の7を乗じた金額(計算の結果が3万円未満の場合は3万円)の他に取締役会設置会社の定めの設定分として『登録免許税法別表第1二十四(一)ワ』の3万円が別に課税されるということありません。


通常どおり両方が課税されるのか、免責の登記の分は、新設分割による設立の区分の中に含まれるのでしょうか。

結論は両方が課税される

この点について、権威ある書籍や雑誌等には明確に言及されておりません。そのため、新設分割と免責の登記を同一の申請情報で申請するような案件が来た場合は毎回、法務局に照会してから実行しております。
東京だけでなく地方の法務局にも確認してきた当職の経験から申し上げますと、登録免許税はそれぞれ課税されます。


なお、課税される理由は、いずれの法務局も「課税の区分が異なるため。」ということで、設立時になぜ、別途、課税されるについての明確な理由は示してはくれませんでした。


新設分割と免責の登記を同一の申請情報で申請する場合は、登記の事由が「令和●年●月●日新設分割の手続終了」と「商号譲渡人の債務に関する免責」と2つになるので、区分が異なると指摘されても仕方がないのかなと個人的には考えております。

免責の登記につきまして弊所にご相談を

免責の登記はあまり頻繁に行われる登記ではありません。そのため、慣れていないと対応が後手に回ることもあろうかと存じます。また、些末な部分ではありますが、今回触れました登録免許税に関しても、限られた予算内で実行する必要がある会社のご担当者様におかれましては、非常に気になるところかと思います。


免責の登記につきましては、私ども司法書士法人神楽坂法務合同事務所にご相談ください。

 

(文責:佐々木)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ