事例紹介

商業登記2024.05.20.免責の登記① ~事業譲渡に伴う免責の登記について~

免責の登記とは?

事業譲渡においては、当該事業譲渡契約において引受けをすると定めた譲渡会社の債務のみが、譲受会社に移転します。

しかし、譲渡会社の商号を続用する場合は、事業を譲り受けた会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うとされております(会社法第22条第1項)。


この免責の登記は、後述しますが、譲渡会社の承諾書等を添付し、譲受会社が申請します。

登記が完了すると、譲受会社の登記記録の「商号」の欄の下の部分に「商号譲人の債務に関する免責」の欄が設けられ、一般的に下記のような内容が記録されます。

 

「当会社は令和●年●月●日事業譲渡を受けたが、譲渡会社である●会社の債務について、当会社が承継するものとされた債務を除き、弁済する責任を負わない。」

 

免責の登記に必要となる書類は?

免責の登記に必要となる書類は一般的には下記のとおりです。


<譲渡会社>
⇒譲受会社が免責の登記をすることについての承諾書、印鑑証明書、登記事項証明書


<譲受会社>
⇒委任状


上記の承諾書、委任状には法務局に届出した印鑑(いわゆる会社実印)の押印が必要です。

また、上記の印鑑証明書、登記事項証明書は譲渡会社と譲受会社が同じ法務局の管轄であれば省略できます(異なる法務局の管轄の場合でも会社法人等番号を提供することで省略も可能です)。

 

商号の続用はないが屋号の続用がある場合に免責の登記をすることができるか?

事業譲渡に際して、商号の続用がなくとも事業に関する屋号の続用がある場合、免責の登記ができるとされております(登記研究674号97頁以下参照)。


この場合の免責の登記の内容ですが、屋号は、登記事項ではないため、屋号を登記の内容に含む必要がないとする見解があります(登記研究674号99頁)。

しかし、屋号を記載する内容で登記できている実例もあります(登記情報593号9頁)。

屋号を記載する内容での登記の可否は管轄法務局の登記官の判断によりますので事前に確認が必要です。


当職も免責の登記に際に屋号を記載する内容で登記した経験が複数回ありますので、ご相談ください。


次回は会社分割と免責の登記についてのお話をいたします。


(文責:佐々木)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ