事例紹介

不動産2023.11.15.被保佐人が所有する居住用でない不動産の売却

成年被後見人の場合とは異なります

 

 被保佐人が所有する居住用でない不動産の売却のご依頼がありました。

 被保佐人は登記申請に必要な意思能力を有していると解されております(登記研究86号40頁)。しかし、被保佐人が不動産の売却をする時は、保佐人の同意を得なければならないとされております(民法第13条第1項)。そのため、成年被後見人が所有する居住用でない不動産の売却とは登記手続きの際に必要となる書類も異なってきます。

 

必要となる書類は?

 

 ご依頼頂いた案件では、保佐人に、①被保佐人の不動産の売却、②登記の申請、③①、②の各事務に関する一切の事項の代理権が付与されておりました。また、被保佐人は、売却の対象となる物件の登記済権利証を紛失しており、司法書士が本人確認情報を作成する必要がありました。この場合において、売主様の必要となる書類として押印して頂く必要のある書類は、登記原因証明情報、委任状、準備して頂く必要のある書類は印鑑証明書(3ヶ月以内)、保佐人が記録された登記事項証明書(3ヶ月以内)、そして、登記済権利証を紛失しておりますので本人確認情報も準備しなければなりません。

 

被保佐人のものが必要?保佐人のものが必要?

 

 問題となるのは、押印や印鑑証明書は被保佐人のものが必要なのか、保佐人のものが必要なのか、また、本人確認情報を作成する際に誰を面談すべきなのかという点です。

 結論から申し上げますと、押印も印鑑証明書も保佐人のものが必要となります。また、本人確認情報作成のための面談も保佐人と面談する必要があります。これは、保佐人に上記の代理権が付与されているためです。

 

被保佐人が所有する不動産の売却は検討事項が多い

 

 ご依頼頂いた案件においては上記の結論となりましたが、保佐人にどのような代理権が付与されているのか否かにより結論は異なってきます。成年被後見人の所有する不動産の売却の事例は多いと思いますが、保佐人の事例は少なくお困りの方が多いのではないかと思います。被保佐人が所有する不動産の売却でお困りの方は弊所にお気軽にご相談ください。 

(文責:佐々木)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ