事例紹介

事例紹介2021.02.16.相続税の基礎控除を増やす目的での養子縁組にご注意

節税目的の養子縁組の注意点

先日、節税対策での養子縁組の有効性について、最高裁判例と実務の動向を踏まえた解説を掲載しました。

 

 本人の実子の有無によって基礎控除の射程内と認められる相続人の数に違いはありますが、前述のとおり節税目的での養子縁組を行うことには何ら問題はありません。

 

 しかし、ここで一つ気を付けておかなければならない養子縁組のパターンがあります。

それは、未成年の孫を祖父母が養子とする場合です。

 

 未成年の孫と養子縁組する場合は、裁判所の許可が、加えて孫が15歳未満の場合は両親の許可(代諾)が必要とされています。

 それぞれ許可を得て、未成年養子縁組が認められた場合、養子(孫)は養父母(祖父母)の戸籍に入ります。

 つまり、養子(孫)の親権者は実父母から養親(祖父母)へと変わるのです。(第818条第二項)

 

養子縁組と親権者

 そもそも、子にとって親権者とはどのような存在なのでしょうか。

 一般的には、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務と定義づけられています。

 卑近な例で説明をすると、法律行為(eg.売買契約)を単独で行うことができない未成年に代わって、代理人として契約を締結したりすることができるのが親権者です。

 

 未成年の孫を養子縁組すると、この「未成年に代わって法律行為をする人」が、実父母から養父母へと変わるということです。

 祖父母(養父母)が存命の間は問題ありません。

 問題が発生するのは、祖父母の死後です。

 

 

未成年後見と死後離縁許可申立

 養親(祖父母)が亡くなると、養子(孫)の親権者がいなくなってしまいます。

 しかも、養親の死亡によって、実父母の親権が自動的に回復することはありません。

 そうすると、親権者不在になってしまった養子(孫)について、未成年後見が開始してしまうのです。

 未成年後見とは、何らかの理由によって親権者が不在になってしまった未成年者のために、裁判所が未成年後見人(未成年の法定代理人となる者)を選任する制度のことです。

 

 しかし、実父母がまだ存命で、かつ十分に親権を行使することができる状態であるこの養子にはそぐわない制度です。

 とはいっても、親権者を早く誰かに決めなればならない…。

 その場合は、家庭裁判所に「死後離縁許可申立て」を行い、養親と養子の関係を終了させましょう。

 そうすると、養子(孫)は実父母の戸籍へ戻り、伴って親権者も実父母となります。

 

 このように、未成年の孫を養子縁組すると祖父母の死後に手間や費用が予想以上にかかってしまうケースもあります。

 遺言書で後任の親権者を指定しておくなど、何らかの措置を講じておくか、死後の手続きについてしっかり養子の実父母に説明しておくことが肝要といえます。

 

 

(文責 大石)

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