事例紹介

事例紹介2018.11.29.民泊新法について

 

昭和23年に施行された旅館業法ですが、外国人観光客の増加やインターネットを利用した民泊など、環境の変化により改正だけでは対応できなくなってきました。

そこで平成29年6月9日に住宅宿泊事業法(通称民泊新法)として新しい法律が成立しました。施行は平成30年6月15日、事前届出・登録は平成30年3月15日からと既に始まっております。そんな民泊新法について、旅館業法との違いを交えながら重要な点をピックアップして解説していきたいと思います。

 

 

民泊新法の特徴

3つのプレーヤー

民泊新法では、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3つのプレーヤーが定められており、それぞれに対してルールがあります。

 

民泊施設=住宅

住宅とは、「人の居住の用に供せられていると認められる家屋」です。具体的には、①現に人の生活の本拠として使用されている家屋、②入居者の募集が行われている家屋、③随時所有者又は賃借人の居住の用に供されている家屋、となります。①は要するに住民票がある、②は賃貸の募集等をしている(見せかけはダメ)、③は空き家じゃなくて(セカンドハウス等)年に何回かは利用されている、という意味です。

この規定により、今まで営業できなかった住居地域でも民泊を運営できるようになる一方、自治体による条例でさらに厳しい制限がされることも予想されます。

 

年間180日以内の営業日数

民泊新法では、既存の住宅を一年間で180日を超えない範囲内で、有償で反復継続して行うことを民泊と定義しています。180日を超える場合、従来の通り、旅館業法や民泊特区条例に基づいて営業する必要があります。また、条例で180日よりも短い期間を定めた場合、事実上民泊を運営することが難しくなることも考えられます。

 

旅館業法との主な違い

一番の違いは、旅館業法では「許可」が必要であった民泊が、「届出」で行えるようになったことです。

許可とは、基本的に行ってはいけないことを、行ってもよいと認定することです。届出は、基本的に行ってもよいことについて、通知をすることです。基本的にNGだったものが、OKになったわけで、これはとても大きな変更です。

 

民泊の始め方

民泊を営業する人(会社)を、「住宅宿泊事業者」といい、都道府県知事等に届出をすることで始めることができます。

 

届出の際には、次の事項を記載した届出書を提出しなければいけません。

1 商号、名称又は氏名及び住所

2 法人である場合においては、その役員の氏名

3 未成年である場合には、法定代理人の氏名住所

4 住宅の所在地

5 営業所または事務所を設ける場合には、その名称及び住所

6 当該住宅の管理を委託する場合には、住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名等

7 当該住宅の図面

 

書式は官公庁のHPなどでダウンロードできます。

 

必要書類は以下の通りです。

法人の場合

1 定款又は寄付行為、登記事項証明書

2 役員の後見等登記事項証明書

3 役員の身分証明書

4 住宅の登記事項証明書

5 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他それを証する書類

6 「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合は、それを証する書類

7 住宅の図面(各設備の位置、間取り及び入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積)

8 賃借人の場合、賃貸人が承諾したことを証する書類

9 転借人の場合、賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類

10 区分所有の建物の場合、規約の写し

11 規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類

12 委託する場合は、管理業者から交付された書面の写し

13 欠格事由に該当しないことを誓約する書面

個人の場合

1 後見等登記事項証明書

2 身分証明書

3 未成年者で、その法定代理人が法人である場合は、その法定代理人の登記事項証明書

4~13 法人に同じ

 

その他、賃貸借契約書(民泊者との)も必要という自治体もあるようです。

おそらく、全てご自身で準備するには少々難しいと思います。難しいですが、図面はそこまで精密なものが求められると考えずらいため、頑張ればなんとかできる範囲ではあります。

 

費用について

民泊を営業するつまり「住宅宿泊事業者」の届出には特別の費用はありません。「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」は9万円の登録免許税が必要です。行政書士に依頼する場合、その報酬が必要です。参考までに、弊所では、基本10万円(税別)にてお引受けしております。

 

新宿区民泊条例について

 

新宿区では「新宿区住宅宿泊事業の訂正な運営の確保に関する条例」(平成29年12月11日付条例第37号)が定められました。特に気になる点は以下の通りです。

 

第11条

・中略 住居専用地域においては、月曜日の正午から金曜日の正午までは、住宅宿泊事業を実施することが出来ない。

 

つまり、住宅エリアでは土日しか民泊を営業できないという非常に厳しい制限と言えます。新宿区では違法民泊が問題となっており、区政に寄せられた苦情を反映した条例となっています。

また第13条では、賃貸借契約書とマンション管理規約において民泊に関する規定を設定する努力義務が定められています。賃貸借契約書の作成・更新時、マンション管理規約の改定の際にご不安な場合はご相談ください。

文責:庄田

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