事例紹介

事例紹介2017.07.7.公益法人への遺贈寄付

自分が亡くなった後のことを考えたことはありますか?

死後の世界の事については宗教におまかせして

ここでは残されたもののことについて考えてみましょう。

 

法律家として、弊所では遺言書の作成を常々お勧めしております。

死後、被相続人の財産を求めた争いが起こっているのを、日常的に見ているからです。

仲の悪かった兄弟であれば言わずもがな、仲の良かった兄弟でも遺産相続を機に不仲になってしまう事態を、幾度となく見てきています。

 

「自分の気持ちを一言そえておけば、争いにならなかっただろう。」と死んでから悔やんでも、後悔先に立たず、死人に口なしです。

 

 

そうはいっても、遺言を書いて財産を残したいような人もいない、人間なんてクソくらえ!と思っている人もいるかもしれません。

 

もし、人があてにならないというのであれば、社会の役に立てるために、公共事業や公益法人に遺贈してみるのはどうでしょうか。

 

公共事業に寄付すると相続税がかからないというメリットがありますので、遺産が多くて、相続人に多額の相続税の負担が強いられる事が予測される場合等に、相続税を軽減させるために、公共事業に寄付することを検討するのも有用です。

 

 

公共事業に寄付するためには、

①事業を営む物が、遺贈された財産を事業のために確実に使用することが明らかであること

②公共事業が、特定の者とその家族や親族のみで運営されていないこと

③遺贈された後2年以内に実際にその財産を事業のために使用すること

等の要件を満たすことが必要です。

 

しかし、遺言時には、どの社会福祉法人に遺贈すればよいかわからないこともあり得ます。

 

このような場合、「遺言者は、その所有する不動産を適当な社会福祉法人に寄付する。」との遺言をすることは許されるのでしょうか。

遺贈は、受遺者が特定されていなければなりませんので、受遺者の指定を第三者に委託することは原則として許されないと解されています。

これを認めてしまうと、遺言内容を第三者が決定することになり、遺言代理禁止の原則に反するからです。

 

もっとも、遺言者が、どの団体に遺贈してよいかわからず、第三者の判断の助けを借りたいと望むことはあり得ることであり、その要請を満たす必要もあります。

 

そこで、判例は、受遺者の範囲が、国、地方公共団体等の公益目的の団体に限定されている場合には、具体的な受遺者の選定を遺言執行者に委託する趣旨の遺言を有効としました(最判H5.1.19民集47・1・1)。

 

したがって、遺言執行者を指定したうえで、遺言執行者に具体的な受遺者の指定を委ねるのであれば、有効な遺言として認められることになります。

 

 

弊所では、遺言執行専門の会社も設立して、対応できるようにしております。

ご相談だけでも、何かありましたらお気軽にご連絡ください。

(文責:角谷)

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