事例紹介

事例紹介2025.11.10.「経営・管理ビザ」審査基準の変更について

 令和7年10月16日から、新たに「経営・管理」の在留資格を取得する場合の審査基準が変更になりました。詳細は下記の入管庁HPから確認できますが、簡単にまとめさせていただきます。なお今回はご自身で事業を立ち上げる方を念頭に解説いたします。

出入国在留管理庁ホームページ

1.審査基準の変更点について

主な審査基準の変更点は以下の通りです。

従来の基準

A.規模要件(資本金若しくは出資の総額が500万円以上又は常勤職員2名以上)

B.独立した事務所の確保

C.事業計画書の作成・提出

 ↓

新基準 ※下線が変わった部分

出資額の要件(資本金若しくは出資の総額が3000万円以上)

職員数の要件(常勤職員1名以上)

③独立した事務所の確保(自宅不可

④事業計画書の作成・提出(専門家の確認を受けたもの

経歴の要件(一定以上の学歴又は3年以上の経営者としての職歴)

日本語能力(経営者本人又は常勤職員がN2若しくは日本の高等教育機関卒業など)

 

 ①と②は従来のAをそれぞれ独立し、基準値が変更となったものです。やはり資本金3000万円に目が行きますが、設立当初から常勤職員の雇用が必須となったので②の条件もかなり厳しいと言えます。

 ③は従来のBに対応します。以前は事務スペースが住居スペースから独立していれば、自宅の一部を事務所として使用することが認められる場合もありましたが、今回自宅を本店とする起業は禁止となりました。

 ④についてですが、以前から経営する会社が債務超過に陥った際などでは、公認会計士等に事業計画書の確認を受けるよう指導される場合もありましたが、今回は新規に事業を立ち上げる場合は全件専門家(会計士、中小企業診断士、税理士等)に確認を受けることが義務付けられました。

 ⑤の経歴は以前は既存の日本企業に経営者として雇用される方のみに課せられた基準でしたが、自身で事業を立ち上げる場合にも基準が設けられました。職歴は3年あれば認められる点は同じですが、学歴は学位取得が必須になるのでやや厳しくなっています。

 ⑥は完全に新規の要件となります。上記①~⑤に比べるとそこまで厳しくはないですが、日本語能力の証明書は事前に準備しておきましょう。

2.総括

 以上見てきたとおり、「経営・管理」の在留資格を新規で取得することは飛躍的に難しくなっています。特に留学生の方が資金をためて卒業後即起業するパターンや、サラリーマンの方が独立するパターンもほぼ不可能な難易度になってしまいました。今後「経営・管理」の在留資格を取得できるのは相当資金的な基盤がしっかりしている方、日本企業に経営者として雇用される方、外国企業の日本法人の役員などに限られてくると考えられます。

 また既に「経営・管理」の資格で在留している方の期間更新についても令和10年10月16日から新基準が適用されることになっています。一応令和10年以降の審査について「経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえ拒否判断を行います。」との一文があるので、出資額3000万円未満は全件不許可とはならないようです。ただしどのくらいの事情を斟酌してもらえるかはその時にならないとわかりません。

 基本的には今後の申請は上記の基準を満たすように準備することになりますが、すでに来日から10年経過しており、3年の在留期間を持っているのであれば、先に永住許可を受けてから起業するなどの選択肢もあります。お客様個々の状況に応じたご提案をさせていただきますので、お困りの際にはぜひ専門家にご相談ください。

(文責:安住)

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