不動産2025.10.15.住宅組合名義建物の名義変更 (1)
今回は、謎の住宅組合が名義となっていた建物についての事例をご紹介します。
相続登記を目的にご依頼いただいた依頼者から、不思議な話がありました。
『土地も建物も亡くなった父親名義だと思っていたら建物が住宅組合になっている』というお話しでした。親名義だと思っていたら祖父母だったという話はよくありますが、住宅組合は聞いたことがありません。
住宅組合とは
調査したところ『有限会社○○町住宅組合』という名称の組合で、解散しないまま登記簿が閉鎖されているではありませんか。公開情報もなかったため、関係がありそうな所全てに問い合わせをしましたが有力な情報はなく、閉鎖登記簿謄本の情報しかありません。
この住宅組合は当時、家を建てるために同じ地域に住む人たちが共同で土地を取得する目的で設立された団体のようです。ところが、組合は自然と活動を終え正式な手続きを取らないまま解散状態になったようです。
組合名義で家を建てて、所有者変更登記を行う事を知らずにその家で生活を初めたのでしょう。そしてそれを代々知らずに今に至ったと憶測ができます。
なぜこんなことが起こるのか?
住宅組合のような団体が活動をやめたあと、すぐに解散手続きを取っていれば問題は起こりません。解散すると「清算人」という役割の人が選ばれ、残っている財産を処分し、最後に登記も整理します。
ところが、今回のような古い組合などの場合、時代の流れの中で正式な清算がされないまま放置された例も少なくありません。
当時の清算人は調査の結果すでに全員が亡くなっており、登記上は住宅組合の名前だけが残り、誰も手続きができない状態だったのです。
このように、「清算人がいない=名義変更ができない」という状況になると、解決できないように思えます。しかし実は、そうした問題に対応する「スポット清算人」という方法があります。
次回は、このようなケースで登場する「スポット清算人」という制度と登記の原因となった「時効取得」について紹介します。
(文責:川添)
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