事例紹介

事例紹介2024.08.14.特別寄与料とは(特別な貢献のあった親族が権利を主張するには)

はじめに

相続人の中で被相続人(亡くなった方)の介護などに特に貢献が大きかった方に通常の法定相続分より多くの遺産を分けるのが寄与料という制度です。ですが家族の介護が必要になった場合、介護にあたるのは相続人になる方とは限りません。被相続人の子の配偶者などの相続人以外の親族の方は、相続人にはなれませんが、もしそういった方が介護などに尽力していた場合に救済しようとするのが特別寄与料の制度です。特別寄与料は2019年7月1日から導入された比較的新しい制度ですので、今回はその概要をご説明します。

特別寄与料が認められるには

特別寄与料が認められるのは、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族となっています。

まず被相続人の介護や看護を無償でしていることが求められます。同居の親族であったとしても介護などをしていない場合や対価を受け取って介護などをしていた場合は該当しません。

次に被相続人の財産の維持又は増加に寄与していることが必要です。仮に被相続人に必要な介護などを外部に委託した場合、その分の支出が発生し、被相続人の財産が減ることになります。親族が介護などに当たることによって本来発生する介護費用が減っている場合に、財産の維持又は増加に寄与していることになります。

最後に対象となる方は被相続人の親族に限られます。親族とは配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。ただし相続放棄をした方、欠格事由・廃除によって相続権を失った方は除きます。

特別寄与料は誰に請求するのか

対象となる方は被相続人の相続人となる方に請求をします。通常は相続人との協議において、特別寄与料について話し合いを行い、相続人全員の合意が得られれば特別寄与料を受け取れます。

仮に話し合いが不調に終わった場合は家庭裁判所に対して調停を申し立てることができます。注意しなければならないのは家庭裁判所への申立は、期限があることです。申し立てができる期限は被相続人が亡くなったことと相続人を知った日から6か月又は被相続人が亡くなってから1年です。一見長く見える期限ですが、話し合いが難航した場合6か月間はすぐに経過してしまいます。不安があれば早い段階で専門家にご相談ください。

終わりに

特別寄与料は認められるための要件が多く、ご自身が対象になるかの判断に悩むこともあると思います。介護にあたっていた方でご自身がこのような制度の対象になるか知りたい場合は専門家にご相談ください。
またこの制度は対象が限定されており、親族でない方で被相続人の介護などにあたっていた方(内縁関係の方、ご友人など)は特別寄与料制度の対象とはなりません。仮に介護にあたっていた方が特別寄与料の対象であったとしても、相続人と介護にあたっていた親族の方の間でトラブルが生じる可能性があります。特別寄与料という制度はありますが、ご自身の介護にあたっていた方に確実に財産を残したいのであれば遺言書の作成をお勧めします。

(文責:安住)

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