事例紹介

事例紹介2023.04.3.自分の死後もペットを守るためにできること

伸びるペットの寿命

昨今、医学の進歩や健康意識の高まりから、我々人間の寿命は順調に伸びています。当たり前に100年生きる時代が、すぐそこまで迫っているかもしれません。

そして寿命がのびているのは、人間だけではありません。我々人間の大切なパートナーである犬猫等いわゆるペットも、確実に寿命が延びてきており、ここ10年で犬の平均寿命は13.3際から14歳に、猫は13.7歳から14.2歳になりました。

また他の動物も案外長生きで、もちろん個体差はありますが、カメは20~30年。インコは15~20年で、もっと大きいオウムになると30年以上。チンチラ・ウサギ・モルモットなどの身近な小型動物でも、10年生きる個体もいます。

自分の死後、ペットはどうする?

しかしそうなると、ペットを残して先に逝ってしまったらどうしようという心配がでてきますね。

日本の法律上、人間以外に遺産を相続させることはできません。たとえ遺言書に「全財産をペットの○○に相続させる」と記載しても、その遺言は無効になってしまいます。

ペットの世話を託す方法

そこで、「ペットとそのペットの飼育に必要な財産を信頼できる誰かに託す」という方法があります。本稿では一例として、3つの方法をご紹介します。

 

遺言

1つ目は、遺言書で「○○に、ペットを飼育することを条件に飼育に必要な財産を譲る」と記載する方法です。
これを負担付遺贈といい、ある条件を定めて遺言で特定の人に財産を譲る行為です。

ただし気を付けなければいけないのは、この方法だと遺言で一方的にペットの飼育を依頼することになる点です。依頼された人が相続を放棄する、つまりペットと財産の引き受けを断ることができる点には注意が必要です。

 

負担付死因贈与

2つ目は、「自分が死んだら、ペットを飼育することを条件に飼育に必要な財産を譲る」という贈与契約を結ぶ方法です。これを負担付死因贈与といい、贈与する人が亡くなったときに、ある条件のもとで贈与が行われるというものです。

内容は1つ目の負担付遺贈と似ていますが、こちらは、贈与する人と贈与される人の双方の合意が前提であるため、ペットと財産の引き受けを拒否される心配はありません。贈与の契約は口頭での約束でも成立しますが、安心してペットを託すためには、書面で契約することが重要です。

 

信託

そして3つ目は、信託を利用する方法です。信託とは、ある目的のために第三者に財産を託して、その財産の管理を任せるしくみです。

ペットを託す信託では、「ペットを飼育してもらうために信託機関に財産を託して、信託機関が新しい飼い主に財産を渡す」という形態の契約を結びます。まだ対応できる機関は少ないようですが、気になる方はぜひ調べてみてください。

おわりに

以上のいずれの場合も、間違いなく効力を発揮する書面が必要となりますので、専門家に相談して生前から対策しておくことをおすすめいたします。(文責:尾上)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ