事例紹介

登記2019.02.8.仮想通貨による現物出資

増資とは、企業が新たに株を発行して、事業の元手となる資本を増やすことを言います。

第三者に対し出資を募り、出資してもらった資本を会社の資本金として組み入れ、その対価として新株を発行するのが主な増資の方法になります。

出資の目的たる財産は金銭に限らず、株式会社においては労務・信用以外であれば何でも出資の目的たる財産とする事ができます。

圧倒的に多いのは、金銭による出資ですが、金銭以外による出資もまま有ります。

金銭以外の財産を出資の目的とするときは、原則として、対象財産の価格を調査させるため、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければいけません。

但し以下の場合には検査役の調査を省略することができます。

①現物出資者に割り当てる株式総数が、発行済み株式総数の10分の1を超えない場合

②現物出資財産の価格の総額が500万円を超えない場合

③市場価格のある有価証券である場合

④価格の相当性につき弁護士等の証明を受けた場合

⑤会社に対する金銭債権である場合

ここからが本題です。

仮想通貨を出資の目的とした場合の手続きはどうなるのでしょうか。

現物出資の場合には出資した財産の特定が出来る程度の記載が必要となります。

資本金は円を基準としているので、仮想通貨の数量の記載だけでなく、定款作成時のレートで換算して仮想通貨の数量を示す必要があります。

このレートは、普段利用している仮想通貨取引所のレートを利用してください。

定款作成時のチャートをスクリーンショットで保存してください。

以下記載方法例↓

募集株式の発行につき、現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産、その価格並びにこれに対して与える募集株式は次のとおりである。

1.現物出資者の氏名 庄田和樹

2.目的財産の表示及び価額  以下の通りとする。

財産の所在 庄田和樹のハードウェアウォレットOO内

ナンバー 123456

基準日:平成31年1月1日

数量:1.23BTC

金額 金100万円

3.現物出資者に対して割り当てる株式数 100株

現物出資がある場合は、金銭出資のみの場合の登記必要書類のほかに、「現物資産の給付があったことを証明する書類」が必要になります。

仮想通貨の場合には、下記のような証明書で登記申請ができます。

証明書↓

1.株式会社遺言執行社は、以下の者より現物出資財産の給付があったことを証明する。

住所 東京都新宿区神楽坂3丁目4番1号

氏名 庄田和樹

2.給付された財産は以下の通りである。

庄田和樹のハードウェアウォレットOO内

平成31年1月1日時点におけるビットコイン 1.23BTC

この価格 金100万円

新会社法になってから、現物出資がしやすくなり、仮想通貨を出資財産とする増資や会社の設立についてのご相談が増えています。

増資、設立時には仮想通貨に強い司法書士へご相談ください。

(文責:庄田)

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