お知らせ2026.05.15.プラットフォーム「みらいたすく」について

2026年4月17日、SMBC日興証券や三菱UFJ信託銀行などが、遺産相続手続きを一括して請け負う新会社を設立すると発表しました。
野村ホールディングスや大和証券グループ本社、三井住友信託銀行、NTTデータなどが、共同出資し、遺産相続手続きを一括で行える新会社の設立を発表し、金融業界横断の共通プラットフォーム「みらいたすく(仮名)」を2027年夏ごろに試験導入、2028年秋ごろの本格サービス開始を目指しています。
なぜ今必要とされているのか
相続手続きは、非常に手間がかかるものです。銀行、証券会社、信託銀行など、故人が利用していた金融機関ごとに連絡し、同じような書類を何度も提出しなければなりません。
こうした負担の背景には、日本の高齢化と資産の分散があります。現在、多くの人が複数の金融機関に口座を持っているため、「どこに資産があるのかわからない」「手続きが終わらない」といった問題が起きやすくなっています。また、金融機関側にとっても、人手不足の中で相続対応は大きな負担となっています。
つまりこの仕組みは、利用者と金融機関の双方にとって、効率化を目的とした取り組みといえます。
メリット
【手続きの一元化】
この仕組み「みらいたすく」は、簡単にいうと『一度の手続きで、複数の金融機関の相続対応を進められる仕組み』です。
これまでは、金融機関ごとに、戸籍謄本・印鑑証明書・本人確認書類などを提出していましたが、これらを一度提出すれば、参加している金融機関に情報が共有され、手続きをまとめて進められるようになる予定です。
さらに将来的には「どの金融機関に口座があるのか」を把握しやすくする機能も検討されています。
デメリット
【参加している金融機関だけが対象】
この仕組みの対象は、あくまで参加している金融機関に限られます。もし故人が、地方銀行・信用金庫・ネット銀行などを利用していて、それらがこの仕組みに参加していなければ、従来どおり個別に手続きする必要があります。
そのため実際には、「一部は便利になるが、すべてが完結するわけではない」という状況になる可能性があります。
【完全な自動化には至らない】
相続手続きは個別性が高く、すべてを自動化することは難しい分野です。
遺言の内容、相続人の人数・関係性、遺産分割の方法などによって必要な手続きが大きく異なります。そのため、最終的には人による判断や確認が不可欠となるでしょう。
【個人情報の管理】
相続では資産や家族関係といった大切な情報を扱います。これらを一元管理する仕組みは、便利になる一方で、セキュリティや運用体制の信頼性が重要になります。
相続の手続きは金融機関だけで完結するものではありません。不動産の名義変更・相続税の申告・保険の手続きなど、やるべきことは多岐にわたります。
今回の仕組みで効率化されるのは、その一部に過ぎず、「相続手続き全体が大幅に簡単になる」と期待しすぎると、実際とのギャップを感じる可能性があります。
今後について
この仕組みが本当に役立つものになるかどうかは、どれだけ多くの金融機関が参加するかに大きく左右されるでしょう。
もし、多くの銀行や証券会社が参加すれば、相続手続きのあり方が大きく変わる可能性があります。
一方で、参加が限定的であれば、一部の利用者にとどまるサービスとなるかもしれません。また、この仕組みは単なる利便性向上にとどまらず、金融機関にとってはコスト削減や新たな収益機会の創出といった「業界の生き残り戦略」という側面も持っています。
まとめ
今回の取り組みは、相続手続きの負担軽減に向けた前向きな一歩と同時に、金融業界全体の構造的課題に対応するための戦略的な試みでもあります。
参加金融機関の広がりやサービス内容の進化を見極めながら、「どこまで実務が変わるのか」を判断していくことが重要といえます。
(文責:川添)
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