事例紹介2024.04.23.支払督促のススメ
支払督促を知っていますか?
支払督促は、申立人の申立てのみに基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度です。
通常の訴訟と比べて簡易・迅速に解決が図れる手続きとなっており、代理人を立てなくても利用しやすい制度となっています。
そんな支払督促の概要をご紹介します。
支払督促のメリット
「貸したお金を返してくれない。」「家賃や給料を払ってもらえない…。」
このような金銭の未払いに関するトラブルを解決するためには、「民事訴訟(「少額訴訟」を含む。)」「民事調停」「支払督促」といった手続があります。
支払督促は書類審査のみで行う迅速な手続で、費用も通常訴訟の半額で済むというメリットがあります。
利用者が裁判所に出向いたり証拠を提出したりする必要がなく、審査は申立人が提出した書類のみで行われます。
これに対して相手方が異議を申立てなければ、申立人は仮執行宣言を発付してもらうことで強制執行の手続きをすすめることができます。
支払督促の手続き
支払督促の申立ては、申立書に必要事項を記入し、手数料と相手方に書類を送るための郵便切手などを添えて、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に直接または郵送で提出します。
相手方の住所がわからない場合は支払督促の制度を利用することはできません。
申立人が法人の場合は、「登記事項証明書(1通)」が必要となります。
申立書を受理した簡易裁判所書記官は申立書の内容を審査し、申立ての主張から請求に理由があると認められる場合には、相手方の言い分を聞かずに金銭の支払いを命じる「支払督促」を発付します。
支払督促は相手方に送達され、その2週間以内に相手方が異議申立てをしなければ、申立人は「仮執行宣言」の申立てをすることができます。
仮に相手方が支払督促の内容について納得できず、異議を申立てた場合、手続きは訴訟に移行します。
支払督促の効果
このような特徴から支払督促は、督促の対象となる金銭の額や支払時期、契約の有無などについて、申立人と相手方に相違がない場合に向く手続です。
例えば申立人は「相手方から〇月〇日までに代金が支払われる約束だったが、まだ支払われていない」とし、相手方は「確かにそのとおりで、まだ払っていない」というような場合です。
支払督促という支払い命令が裁判所から届くだけで、相手方にはプレッシャーとなり、自主的な支払いを促す事実上の効果が期待できます。
また、支払いが受けられなかったとしても申立人は強制執行の手続きを利用することができますので、相手方の財産を換価して債権の満足を受けることが可能です。
この点、相手方が督促の内容について反論する可能性が高い場合は、民事訴訟や民事調停など、支払督促以外の手続を検討したほうがよいでしょう。
文責:桃田
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