事例紹介

商業登記2021.05.10.仮想通貨による現物出資その2

前書き

以前に仮想通貨による現物出資のコラムを書いたところ、ホームページからの反響がかなりありました。問い合わせから会社の設立のご依頼を承ることが何度かあり、更に知見がたまってきましたので、ここに共有したいと思います。

(以前の記事はこちら)

 

続 仮想通貨による現物出資

以前のコラムではビットコインなどの仮想通貨を現物出資する際に出資者のハードウェアの中にあります、という書類の作成の仕方でした。

しかし、今仮想通貨を持っている人はほとんどが取引所や交換所の口座内にあるだけで誰もハードウェアに移したりはしていないと思います。

そのため、時代に即した記載方法をご紹介します。以下実例として先日ご依頼いただいた一人株式会社設立の際のコインチェックの口座verです。

 

 

定款記載例

(現物出資)

第〇条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して割当てる設立時発行株式の数は、次のとおりである。

 

    現物出資者の氏名

      山田太郎

    出資の目的たる財産の表示

      コインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービスCoincheckの山田太郎の口座(口座番号ID 123456)内の2021年4月27日時点におけるライトコイン 

      100ライトコイン               この価額 金200万円

    その価額

      金200万円

    以上に対して割当てる設立時発行株式の数

      200株

 

 

財産引き継ぎ書記載例

財 産 引 継 書

 

 

 私所有の下記財産を現物出資として給付します。

 

   令和3年4月27日

 

       東京都新宿区1-1-1

       発 起 人 山田太郎

 

 株式会社ABC  御中

 

 

   コインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービスCoincheckの山田太郎の口座(口座番号123456)内の2021年4月27日時点におけるライトコイン 

   100ライトコイン           この価額 金200万円

 

 

 

取締役による調査報告書記載例

調 査 報 告 書

 

 私たちは、株式会社ABCの設立時取締役に選任されましたので、会社法第46条の規定に基づいて調査を行いました。その結果は下記のとおりです。

 

 

1.定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項

  定款に定めた、現物出資をする者は発起人山田太郎であり、出資の目的たる財産、その価額並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下記のとおりである。

  なお、定款に記載された現物出資に係る財産の価額の総額は金200万円であり、会社法第33条第10項第1号に該当する。

 

  現物出資者 山田太郎

    コインチェック株式会社が運営する仮想通貨取引所サービスCoincheckの山田太郎の口座(口座番号ID 123456)内の2021年4月27日時点におけるライトコイン 

    100ライトコイン        この価額 金200万円

    定款に記載された価額 金200万円

    これに対し割り当てる設立時発行株式 普通株式 200株

 

    上記について、当該仮想通貨の価額は、1ライトコイン20000円以上であり、当該定款の定める価額は相当であることを認める。

 

2.発起人山田太郎の引受けに係る200株について、令和3年4月27日現物出資の目的たる財産の給付があったことは、別紙財産引継書により認める。

 

3.令和3年4月27日までに払い込みが完了していることは払込みがあったことを証する書面により認める。

 

4.上記事項以外の設立に関する手続が法令又は定款に違反していないことを認める。

 

   令和3年4月27日

     株式会社ABC

       設立時取締役 山田太郎

 

 

後書き

個人から法人への仮想通貨の移動方法や課税に関しての質問も増えてきているので、そちらに関しては別のコラムでご紹介しようと思います。

文責:庄田

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