事例紹介

未分類2017.08.8.エンディングノートのすすめ

自分が亡くなった後に残された家族が大変にならないようにしたいと思いながら、遺言を残すほどでもないし…と多くの方は思っているのではないでしょうか。

遺言は死の直前に書くようなイメージがあるためなのか、まだ遺言を書くような年齢ではないからと思っている方もいらっしゃると思います。しかし、事故などにより突然命を奪われる場合もあります。いつ亡くなるのかは誰にもわかりません。

日ごろから家族で「こういった葬儀をあげてほしい」「延命治療が必要になったらこういった措置をとってほしい」などの話をしていればよいのですが、そういった家庭は少ないと思います。万が一、事故にあって延命措置が必要になった時、本人はどうしてほしかったのかがわかれば、家族や周りの人たちを悩ませることなく、本人の意向に添ってすすめられます。

「万が一」があった時に家族が迷わないよう、家族への連絡帳を書くつもりで、エンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。

 

エンディングノートとは、自身が死亡したときや判断力・意思疎通能力を喪失を伴う病気にかかったときなどに、家族が様々な判断や手続きを進める際に必要となる情報を残すノートのことです。いろいろな種類のノートが市販されていますが、ノートはおおむね3つの部分で構成されています。

1.自分の歴史や趣味・交友関係・家族へのメッセージなど

2.自宅を含め、どんな不動産があって、預貯金はどこの銀行にあるか、ローンなどの負債はどうなのかといった財産の内訳を記録するページ

3.介護や終末期医療・葬儀・お墓などについての希望を書き留めるページ

 

項目ごとに空欄をうめていけば完成する形になっています。初めのページから律儀に書き始めなくても、書けそうなページから少しずつ書いてみることが、書き終わらずに投げ出してしまわないコツです。

 

ノートは、一度書いたら終わりではなく、書き加えたり手直ししたりは自由にできます。誕生日や年の初めなど、日を決めて一年に一度見直してみるのもよいと思います。

 

私が義母を見送った際に「こんなことを書き残しておいてくれたらよかったな」と思ったことの一つは、財産のことです。義母は、ちょっと検査に行くつもりで病院に行ったらそのまま即入院、亡くなるまで退院できなかったため、自宅は検査に行った日のままでした。自分の財産を整理する暇もなかったため、どこに何があるのかさっぱりわからず、あちこちに問い合わせするなど残された家族は大変でした。

残された人たちに銀行口座のことがわかるようにしておくことは、金銭トラブルを起こさないために重要です。相続人の一人が通帳とカードを持ち出し、病院の費用を出す名目で暗証番号を聞き出し、死亡後も使ってしまう、ということも起こりかねません。

ネット銀行の口座は通帳などがないため、見つからないこともありますので、きちんと整理しておいておくことが大切です。

 

また友人関係や義母の親戚関係もわからないことが多く、年が明けて年賀状が届いてからお知らせすることになった方もおり、一年近くたってからのお知らせに申し訳ない気持ちになりました。病床に伏しているときにお知らせしたい人を教えてくれとは言えませんので、元気なうちにリストにしておいてもらえたらよかったと思いました。また、家族への想いなどがわかる記載がもしあったら、それこそ後生大事にしたい宝物です。そういったことを何も聞けず、バタバタとしているうちに亡くなってしまったのは本当に残念でした。

 

エンディングノートを書く上で大切なことは、ノートは家族に見せる前提で書くことです。また、どこにノートがあるのかを家族に伝えておくことも大切です。せっかく書いたノートが亡くなって何年もたってからでてきたのでは、すべて終わってしまって本人の希望通りにできなかった、ということにもなりかねません。

 

また注意しなければいけないのは、エンディングノートは遺言書と違って、内容に法的な拘束力はありません。書いている内容はあくまで個人の希望や思いなので、相続などお金のことについては、遺言書を作成することをお勧めします。エンディングノートは存命中や死後の家族の負担を減らすことを目的としています。

 

エンディングノートにご自身の身の回りのことを整理しておけば、専門家の手を借りて遺言を作ったり相続に備えようと考えたときにも大いに役に立つので、少しずつわかるところからでも書いてみてはいかがでしょうか?

(高橋)

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