事例紹介

その他2020.09.14.改正建設業法・経管はどうなる?

来たる2020年10月1日、建設業法が改正になります。

中でも注目したいのが、経営業務の管理責任者制度の見直しです。

今まで多くの建設業者様の許可取得を妨げてきたこの制度がどのように変わるのか、見ていきたいと思います。

 

経営業務の管理責任者とは?

経営業務の管理責任者は、建設業の許可申請をする際に必ず設置が必要になっていました。

簡単に言うと、建設業許可業者での役員経験が5年必要という内容です。

この「建設業許可業者での役員経験」という要件を満たすのはなかなか難しく、多くの場合で工事請負契約書や請求書+入金の証拠となる通帳などで必要年数分コツコツと集めて経験を証明することになります。

もちろん許可業者での役員経験があればベストですが、これから許可取得に向けて動こうという会社では、ないことがほとんどです。

 

改正後はどうなる?

そんな厳しい要件が求められる経営業務の管理責任者(経管)に関して現段階で判明している変更点を見てみましょう。

 

まず、厳密に言うと経営業務の管理責任者という制度は廃止され、会社全体として「経営業務管理体制」を満たすことが必要とされます。

 

常勤役員のうち一人が、「建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者」

である場合、以下の①~③を満たす(一人ずつでも兼任でも可)常勤の社員を置けば、経営業務管理体制を満たすことが可能となりました。

 

①許可申請を行う建設業者において5年以上の財務管理の経験を有する者

②     〃              労務管理の経験を有する者

③     〃              運営業務の経験を有する者

 

つまり、今までは建設業での経験が5~6年必須であったのが、建設業の役員経験2年+他業種の役員経験3年で必要年数を満たすことが可能となりました。

そのため、契約書や請求書等で証明を求められる期間は、2年に短縮されると考えられます。

また、申請業種以外の経験については6年の経験が求められていましたが、これが撤廃され、

5年の経験で全ての業種を申請することが可能となりました。

 

 

実際のところは?

実際に気になるのは、経験の証明方法です。

常勤役員の「建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関する経験」及び常勤の社員のの事項を証明するために、

どのような証明書類を役所が求めてくるのかという実務的な部分は未だ発表されておらず、

恐らくは10月1日の施行日に合わせて発行される新たな手引きやガイドラインに詳細が載ることになろうかと思います。

 

また、従前の経営業務の管理責任者の条件であった「建設業者での経験が5年以上ある役員」という規定については、もちろん改正後も変わりませんので、

この条件を満たす方がいれば一番許可取得が早い、ということには変わりありません。

 

 

いかがだったでしょうか? 経管廃止! ということで改正決定当初は期待されていましたが、実際には若干条件が緩くなったかな…? という印象です。

緩くなった割には説明がややこしく、結局何を提出すれば良いのかは未知数のままです。

 

とはいえ、この改正によって許可取得の要件を満たすことができる業者様もいらっしゃると思います。今まで経営業務の管理責任者が許可取得のネックになっていた方は、ぜひ一度自社の状況について確認してみてはいかがでしょうか。

 

建設業の許可要件は複雑ですので、お困りの際はお近くの行政書士にご連絡ください。

 

(文責:川上)

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