事例紹介

お知らせ2026.03.30.登記名義人の氏名不一致と「似て非なる漢字」の考え方

はじめに

稀に登記簿上の氏名の漢字と、戸籍や住民票に記載された漢字が一致しないケースがあります。
このような場合、漢字の違いの内容によって取るべき手続きが変わってきます。

(原則)
登記名義人の氏名が戸籍等の記載と異なる場合は、登記名義人表示の更正登記が必要となります。

(例外)
すべての漢字の違いについて更正登記が必要となるわけではありません。

法務省が公表している「誤字俗字・正字一覧表」に掲載されている誤字・俗字について、『戸籍や住民票では正字が用いられているが、登記簿では誤字・俗字が用いられている場合』、逆に『登記簿では正字、戸籍等では誤字・俗字が用いられている場合』いずれの場合も、更正登記は不要とされています。

「己」「已」「巳」の取扱い

「己」「已」「巳」は非常によく似ていますが、文字としてはそれぞれ別の漢字(正字)です。

過去に「誤字・俗字一覧表」の内容や運用が現在と異なっていた時期があり、その当時の取扱いを前提とした登記が数多く存在します。そのため、古い登記ではこれらの文字が混在していることが稀にあります。

この点については、以下の登記研究が参考になります。

・登記研究461号(昭和61年6月号)
「巳」と「己」について、登記名義人と申請人が同一人と認められる場合は、更正登記を要しない。

・登記研究549号(平成5年10月号)
「已」と「己」についても、同一人と認められる場合は、更正登記を要しない。

これらの見解から、「己」と「巳」・「己」と「已」は、いずれも同一性が認められると判断できるため、更正登記は不要となります。

一覧表の変更と現在の考え方

かつての「誤字・俗字一覧表」では、「己」「已」「巳」の関係性が備考欄に明記されていました。そのため当時の運用を前提とした登記が数多く存在し、これらの文字が混在しているのです。

しかし、平成22年改訂の「誤字・俗字一覧表」では「己」「已」「巳」の関係性に関する記載が削除されました。

形式的にはこれらの文字はそれぞれ独立した正字扱いとなるので、本来的には更正登記が必要とも考えられます。

しかし、過去の取扱いの変遷を踏まえた実務上の判断として、「己」「已」「巳」は別字ではあるものの、更正登記までは求めないという回答が法務局でなされています。

結論としては、これらの漢字は更正登記は不要とされる場面が多いものの、事案によって判断が分かれる可能性もあります。問題になりそうな場合には、事前に法務局へ照会しておくと安心でしょう。

(文責:川添)

 

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