事例紹介

事例紹介2026.01.30.相続登記における外国人登録原票の用途と取得方法

はじめに

 相続登記の際に被相続人が外国人の場合や帰化した方の場合で、国籍国(又は元の国籍国)が戸籍制度のない国ですと結婚・離婚・出生・死亡の証明書などその時点での身分関係を証明できる資料を使用するほか、補助的な資料や上申書を集めて添付資料とします。外国人登録原票は身分関係を直接証明するものではありませんが、被相続人が外国人として日本に滞在してきた履歴を把握できる資料として、相続登記の申請に使用することがあります。

外国人登録原票の用途

 日本国籍の方の相続では被相続人の出生から死亡までの戸籍を準備することで、亡くなった方の身分関係を網羅的に把握することが可能です。しかし被相続人が外国籍の場合や、死亡時に日本国籍でも外国籍であった期間のある場合は戸籍による証明はできないので、代替の証明書類を添付する必要があります。

 台湾など一部の国には日本と同様の戸籍制度があるので、現地の戸籍とその翻訳文をつければ良いのですが、そうした国は例外的です。一般的には結婚・離婚・出生・死亡証明書が発行されるのみで、こうした証明書は「一つの身分関係の変化」を証明してはくれますが、一枚で特定の期間の身分関係の変化を網羅的に把握することはできません。

 例としては被相続人と妻の結婚証明書、被相続人の子の出生証明書があれば「妻が相続人であること」や「子が相続人であること」は証明できますが、「妻や子のほかに相続人がいない」ことは証明できません。そこで外国人登録原票を取得し、記録されている期間の同居者を確認することで、死亡時の配偶者以外の配偶者がいた期間の有無や、判明している子以外の子を養っていた期間がないかを確認します。これをもって確実な証明書類として使用できるものではないですが、各種証明書の間の期間を埋める補助的な資料として使用できます。

 外国人登録法は2012年7月に廃止されており、外国人登録原票で確認できるのはそれ以前の履歴のみとなります。2012年7月以降は外国人登録に代わって外国人の方も住民票が取得できるようになっています。

取得方法について

 外国人登録原票は住民票のように市役所で取得することはできません。出入国在留管理庁に開示請求をすることで取得できます。亡くなった方の外国人登録原票を取得できるのは以下に該当する方です。

① 死亡した外国人の死亡の当時における同居の親族
② 死亡した外国人の死亡の当時における配偶者(事実婚を含む)、直系尊属、直系卑属又は兄弟姉妹
③ 上記①又は②が未成年者又は成年被後見人の場合には、その法定代理人
 請求方法は窓口申請と郵送申請がありますが、請求できる窓口は東京都新宿区の四谷にしかないので、大半の方にとっては郵送申請のみでしょう。申請書は2ページで入管庁ホームページに記載例もあるので、ご自身で取得する場合でもそこまで難しくはないでしょう。ただし令和7年10月現在入管庁ホームページ上に、目安として申請から交付までに4月程度かかると記載されているため、その点は注意が必要です。弊所でも直近(令和7年)で代理申請した際は5月末に請求し、10月初めに届きました。

終わりに

 外国人登録原票はどちらかと言うと住民票に近い性質の書類となりますので、これだけで戸籍の代わりとはなりません。上記の通り各種証明書を補完するもので、提出が必須のものではないことから、取得する必要があるかどうかは法務局にあらかじめ確認するのがよいでしょう。

外国籍の方の相続登記の場合、適用される法律、必要になる書類も国籍国により異なり、法務局側との事前の打ち合わせは必須でしょう。外国人登録原票の取得一つとっても、取得に数か月かかるなど、進めていると困ったことや疑問点が次々生じてくることが多いです。お困りの際はぜひ専門家にご相談ください。

(文責:安住)

 

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