事例紹介

事例紹介2024.06.17.遺言書の受遺者が先に亡くなった場合の効力と予備的遺言

 

遺言書の効力

遺言書の中で、財産を相続させようと定めていた人(受遺者)が遺言者よりも先に亡くなってしまった場合、遺言書の効力はどうなるのでしょうか。死亡した受遺者の相続人が相続できるように思えますが、この場合は遺言書は無効になります。民法には次のような定めがあります。

民法第994条(受遺者の死亡による遺贈の失効)

  • 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

なお、複数の人に遺贈している場合には、すべてが無効になるのではなく、遺言者より先に死亡した受遺者の部分についてのみ無効となり、それ以外の人の分については有効となります。

ケース

例えば、長男・長女・二男の三人に財産を相続させる遺言書を作成した後、遺言者の親より先に長男が亡くなってしまった場合、孫である長男の子どもたちに長男分の財産を相続させたくても、そのことを記載しておかないと当然には長男の子どもたちに長男の分を相続させることはできません。この場合、遺言の中で長男に相続させるとした部分は、相続人間で通常の相続手続き(法定相続や遺産分割協議)を進めていくことになります。

予備的な遺言とは

そういった万が一のことに備えてあらかじめ二次的な承継先を決めておくことを「予備的な遺言」といいます。上記の場合には、「長男に相続させる」という条項とともに「遺言者は、長男が遺言者に先立って、または遺言者と同時に死亡したときは、長男に相続させるとした財産を、長男の子どもAに相続させる」という条項を記載しておけば、長男が先に死亡した場合、孫Aに相続させることができます。

相続させようと思っている人が先に死亡した場合、その財産を誰に相続させるのか、先を見越して決めておくことが大切です。財産を誰に残したいのか、最終的には誰に引き継いでもらいたいのかまでを考えて遺言書を作成することをおすすめします。

なお、遺言執行者についても予備的に定めておくことができます。受遺者を遺言執行者に指定しているケースも多いので、亡くなってしまった場合を考えて予備的条項を入れておかれるといいかと思います。

おわりに

弊所では遺言執行者も承っておりますので、予備的に執行者として記載したいとお考えの場合には、私ども司法書士法人神楽坂法務合同事務所へご相談ください。

 

(文責:高橋)

-----------------------------------------
司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
代表 庄田 和樹
東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号  オザワビル6階
TEL03-5946-8698 FAX03-5946-8699

相続や遺言、不動産についてのご相談やお問い合わせはこちらから

お問い合わせフォームへ