事例紹介2022.08.22.電子マネーの相続・承継は可能か?
電子マネーは相続できる?
昨今では、いろいろな『◯◯ペイ』といった電子マネーが登場し、コロナ禍における非接触の流れも相まって、電子マネーでの決済が広く普及しております。このコラムをご覧の方も、現金を持たず電子マネーでお買い物をするという方も多いのではないでしょうか。
さて、電子マネーを持っていた方がお亡くなりになった場合、電子マネーは相続・承継することはできるのでしょうか。
この点については、電子マネーのサービスを提供している事業者の定める利用規約にどのように記載されているかによって結論が異なります。
今回、数ある電子マネーのうち、比較的利用者の多いと思われる①PayPayと②LINE Payを取り上げ、それぞれの利用規約を確認し、相続・承継ができるか見ていきたいと思います。
①PayPay⇒ 相続・承継可能
PayPay残高利用規約 第5条 ※1
PayPay残高アカウントに関する契約上の地位およびこれにより生じる権利義務の全部または一部は、利用者に帰属し、利用者は、これらの権利を第三者に譲渡、貸与または相続させることはできないものとします。ただし、利用者に相続が発生し、利用者のPayPay残高アカウントにPayPayマネーまたはPayPayマネーライトの残高が残っていた場合、当社は当社所定の方法に基づき、法令に定める例外事由等を考慮の上、当該利用者の保有するそれらの残高を正当に相続または承継すると当社が確認した者に対し、振込手数料を控除した額を振り込みます。
※1 PayPay株式会社PayPay残高利用規約 第5条を引用
https://about.paypay.ne.jp/terms/consumer/rule/balance/
②LINE Pay⇒ 承継可能 ※2
LINE Moneyアカウント利用規約 第3条第4項 ※3
LINE Payアカウントに関する一切の権利は、利用者に一身専属的に帰属します。利用者は、これらの権利を第三者に譲渡、貸与または相続させることはできません。ただし、LINE Moneyアカウント保有者に相続が発生し、LINE Moneyの残高がある場合、当社所定の方法により、相続人に対し、振込手数料を引いた上で返金いたします。なお、振込手数料がLINE Moneyの残高を上回る場合には返金は行いません。
※2 規約によると、一身専属的な権利、簡単に申し上げると、ある個人のみが取得または行使できる権利で、相続人も含め、他人が取得または行使することのできない権利として相続は否定されております。しかし、残高がある場合は相続人に対して返金されるとして承継できる旨が規定されております。
※3 LINE Pay株式会社 LINE Moneyアカウント利用規約 第3条第4項を引用
https://terms2.line.me/linepay_JP_Money_TermsofUse?lang=ja
おわりに
今回は、数ある電子マネーのうち、比較的利用者の多いと思われる①PayPayと②LINE Payの相続・承継ついてを取り上げました。
相続の手続きにおいて、主に相続財産としてすぐに思いつくのは、預貯金、不動産、株式と思いますが、電子マネーも相続・承継できる場合はきちんと手続きを行い、相続・承継しましょう。
最後に、取り上げたサービス事業者の利用規約はこの2022年8月1日現在のものです。そのため、今後利用規約の改定等により運用に変更がある可能性がありますのでご注意ください。
(文責:佐々木)
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