事例紹介

事例紹介2022.08.8.~新民法249条 改正について~共有物を使用する共有者の義務

はじめに

令和3年度に民法が一部改正されました。今回は共有物をする際の共有者の義務について改正された部分をご紹介します。

「共有」と「共有者」

まず「共有」とは、不動産等一つのものに対して複数人が所有している状態の事です。
共有している人達の事を「共有者」、共有の対象になっている物のことを「共有物」と言います。
各共有者は、それぞれの持分に応じて、共有物の全部を使えることになっています。
例えば、建物の2分の1を所有している人が居るとします。その人は、本当に2分の1に相当する部分しか使用ができないというわけではなく、使用することができるのは「全部」です。全員が所有者で、全員が建物全てを使用できます。ですが所有権は一人だけの物じゃないので、いろいろと制限もあるというお話です。

では今回どの部分が改正されたのでしょうか。

改正されたのは?

(改正前)

1 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

(改正後)

1 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うこととされている。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

上記の通り2項と3項が追加されました。

【2項について】

持分を超える使用に見合うだけの対価を支払いましょうというルールが定められました。
今までだと、持分を超えた使用をする人に対し、他の共有者は、賃料相当額の不当利得金か損害賠償金の支払を請求することができる判例がありました。
ですが他の共有者に対してどのような義務を負うかについては明確ではなかった為、共有者間でのトラブルになる恐れがありました。

改正後の民法は、法定の対価償還義務を創設しています。

他の共有者は、持分を超える使用があることさえ立証すれば、対価の償還を求めることができます。

【3項について】

いわゆる「善管注意義務」を定めるもので、共有物を使用する際の注意事項は守りましょうと言う事です。

例えば、共有者が注意事項を怠り、過失により共有物を滅失・損傷させた場合、他の共有者は、善管注意義務の債務不履行や共有持分の侵害による不法行為に基づき損害賠償請求を行うことができると言う訳です。

 

 

以上、改正後民法249条についてご紹介しました。

文責:松井

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