事例紹介

相続・遺言2018.04.27.遺産整理(4)

遺産整理4回目の今回は、4.遺産の調査です。その中で預貯金の有無の調べ方をみていきます。

 

1.遺品の整理

2.相続人の調査

3.遺言の調査

4.遺産の調査

5.遺産目録の作成

6.遺産分割協議書の作成

7.不動産の名義変更

8.預貯金の相続手続き

9.株式や投資信託、公社債の相続手続き

10.生命保険金、給付金の請求

11.相続税を申告する税理士の手配

12.遺産を売却する場合にはその手配

13.各相続人への遺産の分配

預貯金の有無の確認

 

通帳やキャッシュカードがあれば、その金融機関に「残高証明書」を依頼しましょう。必要書類は金融機関によって異なりますが、一般的には次のようなものが必要です。(各金融機関によって必要書類が異なる場合がありますので、ご確認ください)

①被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本※

②自分が相続人であることがわかる戸籍謄本※

③手続きをする相続人の印鑑証明と実印

④手続きをする相続人の本人確認書類(運転免許証等)

⑤通帳やキャッシュカードなど番号がわかるもの

※①と②は法定相続情報一覧図で対応可

 

近所の金融機関で口座がありそうな場合には、上記の①、②、④を持参して窓口で口座の有無を確認したい旨を伝えると、その場で確認してくれます。

 

郵便貯金の有無の調査(現存調査)

ゆうちょ銀行に口座をもっている方も多くお見受けしますので、通帳やキャッシュカードが見つからない場合には口座の有無を照会した方がよいでしょう。

ゆうちょ銀行各店舗または郵便局の貯金窓口で「貯金等照会書」に必要事項を記入の上、次の書類とあわせて提出します。

  ・名義人の死亡の記載のある戸籍謄本(または除籍謄本)

  ・手続きをする人が相続人であることが確認できる戸籍謄本

  ・請求者の本人確認書類(運転免許証等)

  ・請求者の印鑑(認印)

  ・相続人以外の代理人により請求する場合には委任状

提出された貯金照会書に書かれた住所や氏名から貯金を探すので、名義人が過去に引っ越しをしていたり、結婚・離婚をして氏名が変わるなどしている場合、旧住所・旧氏名も正確に記入する必要があります。

<手続きの流れ>

受付店→窓口で貯金照会書を審査・受付

ゆうちょ銀行貯金事務センター→対象者の口座を調査

ゆうちょ銀行貯金事務センター→調査結果を受付店または請求者へ送付

手続きの期間はおおよそ2週間程度です。手数料は無料です。

 

 

株式等の有価証券の確認

郵便物や口座の出入金で株式の有無が確認できなかった場合、以下のようにして確認します。株式等の有価証券は上場株と非上場株で確認の方法が異なります。

 

◎上場株の場合

「証券保管振替機構」の登録済加入者情報の開示請求で確認できます。証券保管振替機構は証券会社を通して購入した上場株式を保管している会社です。開示請求で被相続人がどこの証券会社に口座を持っていたかを調べることができます。開示請求の手続きにつきましては、証券保管振替機構のHPをご参照ください。手数料はかかります。

上記の開示結果により、被相続人がどこの証券会社に口座を持っていたかがわかりますので、その証券会社に口座の内容を確認します。

◎非上場株の場合

非上場株は証券保管振替機構には登録されていませんので、被相続人が役員をしていた会社や遺品の中に会社の定款や株主名簿があればその会社に問い合わせましょう。

 

銀行からの借り入れを調べる

銀行の金融機関からの借り入れを調べるには「全国銀行個人信用情報センター」に開示請求します。全国銀行個人信用情報センターは一般社団法人全国銀行協会が設置・運営をしている個人信用情報機関でローンやクレジットカード等に関する個人信用情報を登録し、金融機関における与信取引上の判断のための参考資料として情報を提供している機関です。

登録されている情報は次の通りです。

  

取引情報 ローン、クレジットカード、保証の取引およびこれらの連帯保証人に関する情報
不渡情報 当座取引の手形・小切手の不渡に関する情報
官報情報 官報によって一般に公開された破産・民事再生手続きの情報

等々です。

ただし、全国銀行個人信用情報センターに加盟していない金融機関に関しては照会できませんし、金融機関によっては債務者死亡により情報が削除されることがあります。データとして記録が抹消されている場合は、開示手続きですべての債務がわかるわけではありません。遺品を整理した時の手紙などの書類や通帳の履歴で確認するようにしましょう。

必要書類は開示を申し込む人によって異なりますが、法定相続人が申し込む場合には、下記の書類が必要になります。

1.登録情報開示申込書

2.手数料1000円(定額小為替)

3.開示請求者の本人確認資料(免許証等)

4.開示対象者の死亡を証する資料(戸籍や除籍謄本の原本もしくは死亡診断書のコピー等)※

5.示請求者が法定相続人であることを証する資料(開示請求者と開示対象者の続柄が記載されている戸籍謄本の原本)※

  ※は法定相続情報一覧図の写しで対応可

代理人などが請求する場合などは必要書類が異なりますので、ご確認ください。

 

銀行以外の借り入れを調べる

消費者金融等からの借入を調べるには「JICC(株式会社日本信用情報機構)」や「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」の情報開示制度を利用します。クレジットやローンなどの個人の取引に関する情報(利用金額、残高など)がわかります。

 

JICCでは、加盟している消費者金融会社や信販会社等から登録された情報を調べることができます。CICではクレジットの残債といった加盟しているクレジット会社等から登録された情報を調べることができます。

こちらも、加盟していない会社の照会はできません。また、情報が削除されている場合もありますので、開示手続きですべての債務が明らかになるわけではありませんのでご注意ください。

 

遺産調査のまとめ

これらの手続きはすぐにできるものではなく、一つの手続きに1~2週間かかります。

とくに注意が必要なのは相続放棄をする場合で「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」という期限がありますので、これらの手続きを迅速におこなう必要があります。

手続きも複雑で記入を間違えると何度も再提出を求められ、なかなか手続きが進まないこともありますので、わからないことがあればお気軽にお問い合わせください。

(高橋)

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司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士 神楽坂法務合同事務所
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