事例紹介

未分類2017.04.14.「孤独死」を不安に感じないために

数年前、町内会の地区班長をしたときに、集金に伺った1人暮らしの80代の女性が3日後に遺体で発見されるという出来事がありました。足を悪くしていたその女性は、私が集金に伺った金曜日の夜から発見される月曜日の午前中までのどこかの時点で、高低差のある段差から落ちて、頭を強く打ち動けなくなりそのままお亡くなりになったらしいのです。「孤独死」はどこか遠い世界の話だと思っていましたが、そうではなく、日常の中で起こる身近な出来事であることに気づかされました。

 

 

誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような「孤立死(孤独死)」の事例が報道されますが、死因不明の急性死や事故で亡くなった人の検案、解剖を行っている東京都監察医務院が公表しているデータによりますと、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成25(2013)年に2869人にのぼっています。

 

東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者

  65歳以上の一人暮らし死亡者 65歳以上の一人暮らし死亡者のうち、自宅での死亡者数
平成14年 1,817 1,364
平成15年 1,960 1,451
平成16年 2,192 1,669
平成17年 2,512 1,860
平成18年 2,611 1,892
平成19年 3,094 2,361
平成20年 2,954 2,211
平成21年 2,975 2,194
平成22年 3,839 2,937
平成23年 3,488 2,613
平成24年 3,694 2,733
平成25年 3,806 2,869

資料:東京都福祉保健局東京都監察医務院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」

 

また、同じく内閣府の高齢社会白書によると、孤独死を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の高齢者全体で2割に満たなかったのですが、単身世帯では4割を超えております。一人暮らしの高齢者の半分弱の方々が孤独死に不安に感じていることがわかります。

孤独死*を身近な問題と感じるものの割合

とても感じる まあ感じる あまり感じない まったく感じない わからない
総数
(n=1,631)
4.2 13.1 35.6 44.5 2.6
夫婦二人世帯
(n=646)
3.3 11.3 38.4 44.6 2.5
単身世帯
(n=198)
14.6 30.8 27.8 22.7 4
それ以外
(n=787)
2.4 10 35.2 49.9 2.4

資料:内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年)
(注)対象は、全国60歳以上の男女
*本調査における「孤独死」の定義は「誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死」

 

では、不安に思う孤独死を防ぐためにできる対策とはなんでしょうか?

ある新聞のアンケート調査によると「孤独死を防ぐためにほしいもの」の1位は「見守り・安否確認サービス」でした。友達が少なく、親族とも疎遠にしていて、持病があり健康に不安がある方は、いつ倒れてしまい、気づかれずに亡くなってしまうか予測できないので、見守りサービスの必要性を感じているのでしょう。

 

アンケートの結果は以下の通り。

1位 見守り・安否確認サービス

2位 頼れる身近な人

3位 健康・医療機関サービス

4位 家事・介護サポーター

5位 地域のつながり

6位 行政の対応の情報

(朝日新聞2017年1月28日土曜日版)

アンケートの中には「30代の独身従業員が3日続けて無断欠勤したので、アパートの管理会社に連絡して部屋の鍵を開けたら、脳出血で亡くなっていた」という意見もありましたが、孤独死は高齢者に限った話ではありません。孤独死=独居老人のイメージがありますが、実は、40~50代の独身中年も結構多いのです。

 

 

アンケートでは、孤独死は構わないが、発見が遅れたり、死後の後始末を不安に思う人が少なくないという意見も掲載されていました。

そういった孤独死に対しての不安を持たないためにも、発見が遅れないよう見守りサービスを充実させたり、死後事務委任契約を結んで、死後の手続きについて対策をすることが大切なのではないでしょうか。

死後事務委任契約とは、お亡くなりになった後の事務的な手続きを行うことを約束する契約です。亡くなった後の事務を委任したい人(委任者)が第三者(受任者)との間で、亡くなった後の諸手続きについての代理権を与えて、死後の事務を委任する契約のことをいいます。

どんな手続きについて決めるのかというと、例えば、通夜・告別式はどうするのか、菩提寺や墓石の選定はどうするのか、飼っているペットの譲り先は?、関係者へのお知らせはどうするか等々です。

その他、行政への諸届事務、住民税や固定資産税の支払い、老人ホームや賃貸住宅の施設の解約、運転免許証やパスポートの返納、インターネットや携帯電話などの解約など、死後に行われる事務は多岐にわたっています。

 

漠然と不安を抱きながら過ごすより、死後にどんな手続きがあるのかを知り、死後のありかたを専門家と話し合ってきちんと決めておけば毎日を不安なく過ごすことができるでしょう。

(文責:高橋)

 

 

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