事例紹介

未分類2018.06.29.①韓国籍(在日)の方の遺言について

韓国の相続法は歴史的経緯から日本法に酷似しています。しかし、言語がハングルであること、違う部分もままあることから日本人が全て理解するのは困難が伴います。

今回は生まれてからずっと日本で生活している在日韓国人の方が遺言をする場合をモデルケースとして2回に分けて解説していきたいと思います。

 

 

韓国の相続法

現在の民法は1991年1月1日に改正されており、それ以前はいくつもの旧民法があるため、現在の民法を基準としてお話します。

 

相続は死亡によって開始します。

相続の順位は日本と似ています。

 

第一位 直系卑属

第二位 直系尊属

第三位 兄弟姉妹

第四位 四親等内の傍系血族

 

となっています。

配偶者は常に相続人になります。

 

主な違いは以下の通りです。

 法定相続分が違います。同順位の相続人が複数ある時は均等とし、配偶者はその相続分に5割増しになります。

 

法定相続分の例

配偶者と子供が3人の場合

子供1:1:1

配偶者1.5

つまり子供は9分の2づつ、配偶者は9分の3となります。

 

 日本の場合、兄弟姉妹が相続人になるとき、代襲相続人となるのはその子までですが、韓国法では直系卑属はどこまでも相続人になります。

 配偶者は①直系卑属、②直系尊属がいる場合は同順位で共同相続人となり、いないときは単独で相続人になります。日本では兄弟姉妹の場合も共同相続人になりますので、日本よりも配偶者に優しく、兄弟姉妹には不利になっています。

 ④の傍系血族は日本では相続人になりません。

 

 

戸籍法の廃止と家族関係登録法制定

2007年に戸主制度の廃止に伴って、戸籍法の代替法として家族関係の登録等に関する法律」が制定されました。特徴は以下の通りです。

 

①個人別家族関係登録簿の編成

戸主を中心として家単位で戸籍を編成していましたが、方式を変更し、個人別に登録基準地に基づいて家族関係登録簿を編成することとなりました。

 

②登録基準地の導入

本籍という概念を廃止し、管轄を決める基準として登録基準地という概念を創設しました。

 

③証明書

オンライン化された家族関係登録簿から5種類の証明書の発給を受けることが出来ます。これは個人情報の公開を制限するための措置です。

⑴家族関係証明書、⑵基本証明書、⑶婚姻関係証明書、⑷養子縁組証明書、⑸親養子縁組証明書

 

前半終わりに

なお、証明書の取得に関しては、以前は制限がなかったため誰でも依頼を受けて日本から国際小為替で取得できましたが、現在は制限されており、親族等の関係者とその代理人に限られます。専門家へ依頼することも可能ですが、委任状へは実印と印鑑証明書又は身分証明書の写しが必要とされます。詳しくはお問い合わせください。

(文責:庄田)

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